-桜色に染まりし姫君-

□#Due【Il Comandante della Squadra Protezione Animali】
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時間は少し、過去に遡る。


フェリチータがファミリーの一員になる為に、住んでいた家から館に移ってきた時の事。

館に向かう車に乗っていたのは 彼女と、運転している従者のルカ。

お嬢はファミリーに入った理由となる 真っ直ぐな思いを胸に、車に揺られていた。


そして フェルを乗せた車は、ファミリーの館入り口で停車する。



「ようこそ、お嬢!」



彼女を迎えたのは、ファミリーの一員であるリベルタや 幹部の面々だった。



「皆さん! 出迎えに?」


「当然!」


「モンドの娘…それに武術長 ウィディーエの 義妹【いもうと】であるフェリチータお嬢さんが、

 ファミリーの一員になる記念すべき日なんだ」


「っつーことだ、バンビーナァ…」


「よろしくね、お嬢」


「ありがとう!…あれ、姉さんは…?」



フェリチータは、この場所に 自分の姉が居ない事に気付く。



「あぁ、姫嬢なら───

‘フェリチーター…’



とその時、ふいに空から声が聞こえる。


聞き慣れた声に全員が見上げると、そこに居たのは…



「姉さん!?」


「「「ウィディーエ!?」」」



丁度噂されようとしていたウィディーエだったのだ。


彼女は屋根の上で、こちらを見下ろしている。

だがすぐに跳び、空中で回転してフェリチータの隣に着地した。


それを見ていた男達は唖然としている。

パンツが見えたとかではない。

(因みにスカートの中はスパッツである)



『…っと…遅れて悪いな、用事が長引いちまって…』


「ううん! 来てくれてありがとう、姉さん!」


『…コイツらは知らねぇけど、俺は当然だ。

 妹がファミリーに入るのに、迎えない姉なんて居ねぇだろ?』


「コイツらってオレらの事かよ 姫!?」


『当たり前だろ。仕事しろよ。てか姫って呼ぶんじゃねぇよ』


「「「お前が言うな!!」」」


『…チッ』



彼女の仕事しろ発言に、即座にツッコんだ幹部達。

フェリチータは隣で笑っていた。



「ったく…あっそうだ、みんな! 改めてお嬢に自己紹介しようぜ!」


「…必要無い」


「お前はそうだろうけど、お嬢はオレの事よく知らないんだぜ?」


「オレ“達”の事だリベルタァ…」


「そうそう!」


「確かに…」


『…勝手にしろ』


「うん、お願い!」


「よぉし! オレは…───」



───…



「よし! 次は姫だな!」


『…え、俺も? てか姫呼ぶな』


「そおだよ〜、ノヴァも言ったんだしね!」


『…チッ、しゃあねぇな…


 俺はウィディーエ、ファミリーの武術長をやってる。

 戦闘関係の事は、ほとんど俺に任されてる』


「戦闘関係?」


『あぁ、例えば…フェル、コイツらはそれぞれ セリエに所属やら幹部やらやってる。

 お前の入るセリエは、調停を担うセリエ【剣】だ』


「【剣】……それが、姉さんの仕事と関係が?」


『あぁ、単刀直入に言うが…お前はこれから 俺と戦ってもらう』


「…え!?」



* * *



自己紹介が終わり、各々は訓練場に移動した。


何故なら、今からファミリーのお嬢と姫の戦い…もとい 手合わせが始まるからだ。



『…戦うってか、まぁ模擬戦みたいなもんだ。

 俺はこれからお前の力を見て【剣】の幹部に相応しいか判断する。

 お前は手加減せず、本気で来い』


「…うん、分かった。武器とかは?」


『使うのは己の武器と、使えるなら体術…俺等の場合は蹴り技だな。

 アルカナ能力は無しだ』


「…うん」


『審判は母様…マンマだ。


 とにかく本気で来い、俺を倒す勢いでな』


「…分かったわ、姉さん」



準備が出来た彼女達は、各々の武器を構えた。

フェリチータはナイフを両手に。

ウィディーエは左手を翳すと同時に現れた槍を。

右足の銃は外し、デビトに放り投げた。

(危ないので使わないらしい)


そして、マンマの手が上がる。



「では、行きますよ…両者………始め!」



*
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