-孤独の戦士-

□code.3【昔と今での繋がり:後編】
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鉄と鉄がぶつかる様な 鈍い音。


避難している生徒がまだ来ていない屋上で、密かに戦闘は始まっていた。



『…3体でこんなものか? なめるなよ───』



トリオン体に変身したので、専用武器の槍で 全ての攻撃を受け止める。

ひとつも余すことなく、だ。


そこから一度弾き、右端の1体を 左横に斬る。

次に隣は左上。

最後は逆手に持ち…



〈キシャアァ……〉



眼球の形をした急所を 容赦なく貫いた。


全ての個体は、断末魔をあげ 同時に動かなくなる。



『場所取るな…片付けるか』



これで終わりかと思いきや、アユは再び 赤の陣を発動。



『[バーニィ]』




言葉を紡いですぐに モールモッドの下のコンクリートに 赤い光の亀裂がはいる。

実際割れているのではなく あくまでその表面。


そして 一際大きな光と共に、爆発音も響く。

日中でも目を覆ってしまうほどのそれが収まった時、残っていたのは 細かい塵だけだった。



『…よし、これで───

〈ガアァッ!〉


『!』



風に吹かれ 塵すらも飛んでいく様を見つめる。


しかし、まだ終わっていない。



『…あぁ、忘れていた』



別館屋上へと移動させられたトリオン兵が、こちらを睨んでいる…ように見える。

ちらりと一瞥した後、槍の矛先をそちらへ向けたネア。



『[ボルティ]』



今度は今までにない 黄の陣が現れ、そこから同色の雷光が溢れ出す。

周囲の空気がピリピリと張り詰める中、吸収される様に 矛先へ。


技名を発した事が引き金。

ただただ真っ直ぐに、モールモッドを貫いた。



〈ギッ…シャッ…───〉



一瞬の内に機能を失い、断末魔をあげ 伏した。



『ふぅ…ここは完了だな』



やっと静かになった屋上で、ネアは〔ペルソナ〕に触る。

右目だけの視界に映る レーダー等のディスプレイを操作し、通信画面を開いた。



『こちらネア。

 きょうこさん、屋上の 近界民【ネイバー】は全て片付けました』


〈こちら沢村よ、えぇ確認したわ。だけど、反応は後2体残ってる〉


『2体…? 詳細な場所、分かりますか──…!』



オペレーターと連絡をとりあう最中、何かに感づく。



‘慌てないで! 焦らず移動してください!’


‘もうすぐ屋上よ!’


『…すいません、人来ました。校庭に下ります』



ドアの方から、沢山の足音と 大人の声。

避難場所の中に屋上が入っている事は、自ら通っている学校なので覚えている。


とりあえず話は後にし 柵に乗って、跳ぶ。

トリオン体なので、全く心配は要らない。



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