-零下を称す至毒の血-

□#Zwei【魔封街結社:後編】
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中継に映る、半神の半身と 白い猿と スーツ姿の女性。


それを嘲笑う堕落王はさて置き、ライブラメンバーは 既に動き出していた。



* * *



「ザップさん! 本当に猿を撃っちゃっていいんですか!?」


「猿ごとゲートを吹っ飛ばすんだよ!!」


『………』



2人乗りスクーターに、2人の男と 1人の少女。


小柄なお陰か 後ろの少年 レオの肩に手を置き、更に後ろで立つ彼女 イヴィリタ。

ヘルメットは足りなかったので、長いポニーテールを短くして風に吹かれている。


勿論、目の前で行われている ザップとレオの言い争いを 静観しながら。



「でも! あの猿“割れてなかった”んです!!」


「アァッ!?」


「強盗と違って! 猿は割れてませんでした!!」


「んだと〜!?」



エンジン音と風で いくら大声を出してもあまり通じていない。

これでも少年は、かなり重要な事を述べている。



[ブーー…ブーー…]


『…!』



そんな時、少女のスカートポケットにあるスマホが揺れた。

振動を感じ、片手で取り出す。



『…はい、ヴィータです』


〈こちらチェイン。

 ヴィータ、近くに“SS”いる?〉


『…SS? …いるよ』


「「(SS…?)」」



電話の相手は、さっき先行して猿を追いかけていったチェイン。

「SS」という…コードネーム? の銀男 ザップの所在を聞かれる。


しかし、そのネームの意味は分かっていない2人。



『…はい、スメちゃんから』


「おい、SSってなんだ」


『…スメちゃんに聞いてよ』



運転中の彼の耳に、スマホを当てるヴィータ。

その際聞いてみたが、濁された。


因みに挟まれたレオは、何故か顔が赤い。

理由はご想像にお任せします。



「チッ……俺だ。SSってなんだ?


 ……あーもー お前早く真っ二つにならねェかな…」



チェインと話し始めてすぐに、疑問をぶつけた彼は 何故か毒を吐いた。

犬猿な2人の事なので、ザップの癪に障る理由を話したのだろう。


しかし、悠長な状況は突然終わりを告げる。



〈…! 猿がそっち行ったわ!

 もうすぐ次の解放だから、気を付けなさい!〉



注意された端から、またもや切断音。



「うおっ!?」


「うわあぁぁっ!?」


『…っ!』



ビルは斬れ 道路も斬れ ついでにバイクも真っ二つ。


肉体は間一髪なものの、吹き飛ばされるのに充分な威力だった。



「っ…イヴィリタっ!!」


『…!』



不安定な空中で 咄嗟にレオは、少女に手を伸ばす。

気付いたヴィータも伸ばすが、あと1歩の所で届かない。


暴風に晒され、それぞれ逆方向へ飛んでいってしまった。



*
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