-闇の血の戦乙女-
□1.【闇と悪】
5ページ/5ページ
【再び ディオside.】
【通りすがりの旅人】アイツはあの時そう言っていた
…どおりで、見かけないわけか
女は…アルシュネムト…とかいったな
アイツは僕に『今度からは気をつけなさいね』とだけ言って消えた
路地に置いていたんだろう、珍しい形の黒い傘と鞄を持って
僕も正直疲れていたから、程なくして帰った
翌日になって、案の定噂が流れてくる
だがそれは、予想とは違うものだった
一言でいうと【血の無い切断遺体が発見されたらしい】という内容
…明らかにおかしい
伝える者の方も疑問があるといっている
“血が無い”だなんて、聞いた事がない!
それに、あの場にいた僕は確かに見た
自分の足元にも拡がっていく血液を
やはり、この目で見ないと信じられない
すぐさまその場所へ向かった
野次馬をかき分け、前へ躍り出た僕の視界には……
切断遺体はあっても“赤”は全くない
昨日の血の海が嘘のようだった
何故だ…?
考えられるのは、あの女しかいない
だがどうやって?
何の意味がある…?
僕には、この謎を解く事はできなかった
───…
そして、今に至る
僕は、ある貴族の屋敷へ向かう馬車へ乗っている
貴族の名は ジョースター家
嘘かホントか知らないが、親父が今の当主を助けたらしい
あれから数週間経ち、アイツは死んだ
僕に「1番の金持ちになれ」と言って残して
その証拠に、助けられたジョースター卿は 僕を養子にするといってきた
これで、僕の“計画”は動き始める
───1番の金持ちになれ───
…必ずなってやるさ、全てを利用してな
あの女にも…誰にも負けない男になる…!
───こうして、謎の女 アルシュネムトと ディオとの出会いは幕を閉じた。
次の幕開けは、彼女と少女の出会い。
*