-人に戻れた屍-

□#002【和解 〜大切な存在〜】
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【輝気side.】



僕には 少し年の離れた親戚がいる

といっても、血の繋がりは遠いから 幼馴染みと変わらないかな


岸田 莉衣花

今は高校2年で 同じアパート住み

先に独り暮らしをしていた彼女の隣が空いていたのもあって 引越したんだ

…【爪】に狙われ始めたこともあったしね


物心つく前くらいから 一緒に遊んだり、面倒を見てもらったり

海外出張が多い両親より、過ごした時間が長いかもしれない

引越しも 彼女が隣ならと 2人は何も言わなかった


超能力も この頃から発現していた

彼女に1度は見せてるハズなんだけど、様子から察するに 知らないみたいだ


だから、今回僕が何をしたか 話していない

…正直話したくない…リィカに嫌われたくないんだ


リィカだけは、僕を見捨てないでくれたから…───



『…ル…テル!』


「…っ!」



…しまった、呼ばれてる事に気付けなかった…!



『大丈夫? やっぱりしんどくなってきた?』


「ううん、ちょっとボーッとしてただけだから!

 ところでどうかしたの?」


『あ、そうだ…テル、カバンは?』


「え…? あ、そういえば…校庭に置いたはずなんだけど…

 (確か筋肉ゴリラ…じゃなくて、塩中の奴にぶつけた後 何処かとんでっちゃったのかな…)」


『校庭ね…ふんふん…』



ひとりでに頷いて、周りを見渡すリィカ


すると、ある1点で止まり 傘を差してから歩き始める

僕も借りた傘を差して付いていく


辿り着いたのは 正門近くの茂みで、彼女は手を伸ばして 何かを取った

さくらんぼのようなマークが入った 黒酢中の通学鞄

キーホルダーも何も付けてないけど、キズとかから 紛れもない自分のものだって自信があった



『はいこれ、多分テルのかな。一応中確認して』


「分かった……うん、僕のだよこれ。ありがとうリィカ!」


『どういたしまして』



ニコリと笑顔を向けてくれる

昔からよく笑う人で、輝いてるんじゃないかって錯覚した頃がある

僕が物を失くした時とか、すぐ見つけてくれてたよね

遊んでもらってて 迷子になっても、暗くなる前に 必ず迎えに来てくれた


…でも、どうして分かったんだろう……まるで…───



「…ねぇ、リィカ」


『何?』


「どうして、校庭に落としたってだけで場所が分かったの?」


『…!』



まるで…予知能力とか、感知能力とか……僕と同じようなチカラを、使ったような。



『…いつも言ってるでしょ? なんとなく、よ』



…これって、やっぱりはぐらかされてるのかな


僕が…信用出来ないから…?


いや…もし彼女も超能力者なら、僕みたいに【爪】に狙われてるはずだし…



『さ、買い物行こ! 今日はカレーよ』



…これ以上考えるのはやめよう

嘘吐いてるようには感じないし、僕も…言いたくないことはある


にしても…カレー好きだな、リィカ…



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