-黒赤天使の羽は何色?-
□Story.3【大切な約束】
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イスカが研究室を出て 数分。
『ふえー…ソーマどこだろう?』
エレベーターの階層説明が書かれた案内を見ながら、首を傾げまくっている少女。
彼と会って話をする、と決めたものの 何処にいるのか検討がつかない。
朝から部屋に行っても居ないので、サカキの所へとんできたからだ。
『んー…くんれんじょ【訓練所】かな?
…でももうおわってるじかん……じゃあへやにもどってる…?
うーーーん…───』
首を 右に左に傾げながら唸っている。
いくらなんでも悩みすぎな気がするのだが。
ボタンを押すか押さないか、指を近付けた時だった。
‘おい、お前聞いたか?’
‘何が?’
『…??』
研究室の斜め前のドアが開き、2人の若者が話をしながら出てきた。
自然とそちらへ目を向ける。
イスカは覚えていないが、彼等は先日 訓練後にすれ違った青年達だった。
《“ソーマ”また独りでいるらしいぜ?》
《お?遂に見放されたか》
『(……ソーマ…?)』
知らない人の会話に出てきた 今会いたい人の名前。
エレベーター前にいる少女の存在は 背が小さくて見えないらしく、話は続く。
《アイツがどんなに頑張ったって“死神”の傍からは誰でも離れていくさ。死ぬなりなんなりで、な》
《俺は絶対無理!!つっても“死神”だから、簡単に死なねぇだろうしなー…》
『……───』
《アイツが入隊したら、誰か戦場に見捨ててくれりゃあいいのに》
それが イスカの引き金だった。
*