■転生したらNARUTOの世界だった

□リンゴ
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「「琥太郎/琥太郎にーちゃん!」」



キッチンのものを整理していると、リビングにいる二人に呼ばれる


「なに?どした、声そろえて」


「いいから、こっち来てってばよ!」


なにやらにやにやしたナルトがそう言うのでキッチンから出る


サスケはそわそわしている


ホントになんだ?



なんかやらかしたのか??





ソファーに座らされて、首をひねる俺に満面の笑みのナルトが後ろで手を組んで俺の前に立った

やや緊張した面持ちのサスケも同様に、俺の前へ




「琥太郎にーちゃん、いつもありがとな!」



「…アンタには、いつも、…感謝してる……」



ナルトは前に撮った俺たち三人の写真の入った写真立てを俺に見せた


顔を赤くしたサスケが半ば押し付けるように小さな花束を渡してきた



「え、あ…」


なんのことやらわからず、ぱちぱちと瞬きをする


この花はダリアだろうか
こんなに近くにあるのに微かな香りしかしない

なるほど、だから俺でさえ花があるのに気付かなかったのか





はて、今日は何か祝い事があっただろうか


俺の誕生日ではない



ナルトを迎えに行った日でも、サスケと初めて会った日でもない




今日は、なにがあっただろうか






視界の端に捉えたカレンダーを見つけた納得



「…ふはっ…ありがとな、お前ら」



今日は6月の第3日曜日

…つまり今日は、父の日だ




俺の反応を伺うように見つめていた二人を抱きしめる



「わっ!」


「な、っ!」


「…ありがとな、ホント…。嬉しい」



「…くひひっ」



妙な笑い方をしたナルトがぎゅうぎゅうと抱き着いてくる


サスケまでもがそろそろと腕を伸ばして、俺の体に回してきた




あー、やばいな……

じわりと熱くなる目元



だめだ、俺先生のこと笑えねーじゃん


俺が初めてご飯作ったときも、誕生日を祝ったときも、
先生はわんわん泣いて痛いほど俺を抱きしめた


嬉しかったくせにだっせーのって笑ってた俺だけど、まさかこんな風になるとは



やるのとやってもらうのじゃ全然違うな




「あっれー?琥太郎にーちゃんってば、泣いてんの?」


「そうなのか?…意外だ、アンタがそんな感情的だとはな」




「…うっせーばーか」






今日も、俺は幸せです





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