■転生したらNARUTOの世界だった

□アイビー
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今日は卒業試験


俺は昔に卒業してるから実質二回目

ナルトは二回落ちて迎える三回目

サスケは初めてかな?わからんけどとりあえず緊張は全くしてないようだ



まあ下忍の中でも力はあるほうだからかなあ

自信があるのはいいことだけど、謙虚なくらいでいなきゃ足元掬われんのがこの世界なんだけどな


サスケもいずれわかるだろう




打って変わってガッチガチに緊張しているのが三回目の正直で挑むナルトである


コップを握る手が震えているのが見える

ちょっとやめろよ…アル中かよお前…




「ナルト、緊張しすぎたら出来るもんも出来なくなるぞ」



「わ、わかってんだけどよ…ううっ、俺ってばトイレ!」



腹を押さえてトイレへと急ぐナルト

はあ、なんであんなにせわしないかね…


どんだけストレス感じてんだろ
俺からしたらナルトが普段してる悪戯とかのが難易度高い気するけど







「大丈夫かなあナルト」



「ドベだからな。仕方ないだろ」



「そういう奴ほど段階すっ飛ばして成長してったりするもんだ」



「ナルトはどうだかな」



フン、と鼻で笑うサスケは悪人顔だ


原作より仲はいいけど、やっぱりナルトを下に見てるところがあるなあ…


見栄張りたい年頃だから?

自分に実力があるからって周りを蔑(さげす)むのは良くねえと思うけど…

そういうのは自分の価値下げるだけだからやめろって前に言ったはずなんだけどなあ




こういう時期のことを思い出して死にたくなるがいいさ!!

お前は今黒歴史を量産しているんだぜサスケくんよお!!















「卒業試験は分身の術にする。呼ばれた者は一人ずつ隣の教室までくるように」



そう言ったイルカさんの言葉で隣にいるナルトがあたふたと動揺するのが琥太郎は手にとるようにわかった



こいつ分身の術苦手だもんなあ…




チャクラの練り方も下手なのに体内に自分以外のチャクラが混ざってんだからコントロールは確かに他人の何倍も難しいだろう


でも十二年も一緒に生きてきたのだから九尾のチャクラを自在に使えるとまではいかなくとも邪魔にはならない程度に制御、というか慣れるものじゃないのか?



実際に自分の腹に九尾が居るわけではない琥太郎は憶測しかできないが、ナルトの分身が苦手な理由はただの不器用なところにあると思う


だってあと数時間後には分身どころか多重影分身できるようになるんだから




やり方がわからないだけでナルトは十分に素質があるのだ




先生の子だからとかそういうわけじゃなくてナルトはナルトだけど、この子本来の力は抜きんでてあるはずなのを琥太郎は知っていた



「(まあぶきっちょだから…サスケみたいに容量よくこなせなくて周りにはわかんねえんだよなあ)」





頬杖をついて琥太郎は冷や汗を浮かべるナルトを観察する



といってもサスケももちろん完璧ではなくまだまだ無駄が多いチャクラの練り方であるし印の組み方も甘い


現時点でナルトはサスケに負けているが、近い将来、ナルトは頭角を表す




原作知識だけでなくナルトのそばに誰よりもいたからこそ琥太郎はそれを感じていた




ぼんやりと思考に沈んでいると俺の名前が呼ばれたので移動する




平均はこんくらいかなあと四体ほど分身を出して俺は合格



実力を疑うようにじいぃっとイルカさんに見つめられるが何も言わずに笑って額当てを受け取る


廊下に出てすぐにそれをポケットに突っ込んできょろきょろと辺りを見回す





さーてと、ナルトはどこかな





試験に無事合格した子どもたちが両親に手を引かれて帰路につく


俺が初めて合格したときも先生は任務を無理やり終わらせて迎えに来てくれたっけなあ





「………」




人目につかないところで俺は変化を解いて、元の姿に戻る





しばらく歩くと俯いたままブランコに座るナルトの姿を見つけた




「ナルト」



「!……にい、ちゃん…」



「帰るぞ」



「ッ、うん!」



ぱぁ、と笑顔になって飛びついてくるナルトを受け止めてぎゅううっと抱きしめる


「…何してんだ」



冷めた目で俺たちを見ながら寄ってきたのはサスケ


きっとナルトにどう声をかけていいのかわからずにずっとその辺にいたんだろう



ぐいっとその腕を引いて二人一緒に抱きしめる




「っや、めろ…!」


「ははっ。じゃあ帰ろうか」



二人の真ん中で片手ずつ手を繋いで歩く




恥ずかしそうだが二人はどことなく嬉しそうに笑った







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