■転生したらNARUTOの世界だった
□アサガオ
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「……すっげー緊張するってばよ…」
「あんまり気負ったらできるもんもできねえよ。自信持って行ってこい」
身を硬くしているナルトの背中を押してアカデミーに向かわせる
今日はナルトにとって初めての卒業試験だ
俺の原作知識が正しければ、ナルトは受からないだろう
んん……俺が修行見てやったほうがいいのかなー
どうしよ
でも変なクセつけたくねーし…んー
やっぱり教える側にもクセってあるし、俺は頭で考えるほうではあるけど術とかチャクラの練り方とかかなり我流だし…
カカシさんや自来也さんが指導する前に俺が変にいじりたくない
分身の術や変化の術くらい教えてもいいとは思うけど、今教えてやったらナルトはサスケやサクラと同期にはなれないし
以上をふまえると、
俺はそっとしておこうかな、うん
その日の任務は隣国の貿易商と名乗る男からいくつかの巻物と荷物を奪還することだった
簡単な任務だったためいつも以上に早く片が付き、その日のデスクワーク全ても持ち帰らずにできるほど時間が余った
伸びをして凝り固まった背骨まわりや肩の筋肉をほぐす
んんー、もうすることがねえ…
仕事を前倒しにするクセがある琥太郎はいつも捌ききれない量の仕事を抱えているが、今日はそれすらも昼前に終わってしまい、前倒しにしようにももう手の中に残った仕事はなかった
「……イクタ、手伝います。貸しなさい」
「え、ですが…自分でできます」
「手が止まっています。それにまた寝てないのでしょう」
部下であるイクタは真面目で忠実な男だったが如何せん自分の体を大事にしないやつだった
いや、本人にはその自覚がなく、いつも廊下やデスクの上で倒れているのを発見されるのであった
限界ギリギリまでやるなと何度言ってもイクタは気が付けば真っ黒な隈をこさえて仕事をしていた
「いえ、そんなことないですよ」
「はあ…じゃあ最後に仮眠をとったのはいつですか」
「えっと……二日前、ですかね」
「……だめです。一度家に帰りなさい」
「っ、あの、もう終わりますし…」
机の上には資料資料資料
明らかにすぐ片づけられる仕事の量ではない
こんなに回した記憶はないが、この男は本当によく仕事ができるため様々な部署から仕事が舞い込んでくるのだろう
「そうは見えません。いいから帰りなさい」
「副隊長にご迷惑はかけられません」
「…はあ。本当に貴方はわかっていないですね」
重いため息をついて、琥太郎はイクタの面を取った
ビクリと肩を震わせる部下の疲れた目を見据える
「何度も倒れられるほうが迷惑なんです。もういい大人なんですから自分の限界くらい見極められるようになってください」
「すみません…」
「真面目なのはいいことですが、適度な休憩は取りなさい。食事もです。」
「はい……」
「重要な任務の最中に倒れれば全員の命にかかわることだってあります。そこのところ、よく理解しなさい」
「はい……」
「わかったならもういいです。
まったく…どうやったらこんなひどい隈ができるんですか」
琥太郎はイクタの青白い頬をそっと撫でた
もとは美しい青年だったからこそ余計にその疲れが浮きだって見えた
琥太郎に触れられていると自覚した瞬間、イクタの頬に血の気が戻る
カッと赤くなった頬に琥太郎は内心首をかしげる
まあ上司にこんだけ怒られりゃ腹も立つわな
それとも自己管理の甘さへの羞恥か?
琥太郎にはどちらとも取れなかったが、まさか好意を寄せられているとか照れているなどとは考えもついていなかった
すっとその手を離してイクタを見る
「あまり上司に心配をかけないように。いいですね?」
「っはい…!申し訳ありませんでした」
「今日はもう帰りなさい」
琥太郎はイクタの面を机に置いて、それと交換するように大量の書類を自分のデスクへと運んだ
さーってと、仕事仕事ー
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