■転生したらNARUTOの世界だった

□ゼラニウム
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今日は久々のオフ


改めて掃除するほど家の中は汚れていないし、家事もあらかた片付いている




特にすることもなく、俺は里の中をぶらぶらと歩いていた


目的はないはずの散歩だったのに、気が付けば足がうちはの居住区の近くに来ていた



川の水が流れる澄んだ音がしていた


火の光を受けながら、さらさらと流れる水を眺める



そういえば前世じゃあよく川遊びしたなあ…

田舎だったし、子供が遊ぶところと言えば小さな公園か森か川だった


今考えるとなんつう原始人だって感じだけど、そのおかげで今水場がだいたい近くにあるとかがわかる


なんていうか、自然の匂いに敏感になった気がする





「っ…っと……」



ずっと人の気配は遠くに感じてはいたが、気づけば随分と近くに来てしまっていた

向こうはおそらくこちらに気付いておらず、俺が勝手に近づいただけなのだが




遠目で見つめるとそこには小さな男の子

動く度に黒い髪が揺れて、俺は昔の友人を思い出す



イタチ……



目を覚ましてから一度もその姿を見ない


それもそうだ



俺が眠っている何年かの間に、イタチは一族を手にかけ、里を抜けたのだから





…あんな、優しい子にそんなことをさせるなんて


思わず漏れそうになる殺気を押さえて拳を握りしめる





気を静めてから見つめるのは先ほどの少年




少し離れた場所にある的に向かってクナイを投げている

的に当たったクナイは数本

おそらく筋力も足りていないのだろう
地面に落ちているものも多く見られた



琥太郎は足音を消して少年の真上辺りの木の上に登った



「ッ、くそ!……こんなんじゃだめだ…!」



はぁ、はぁと荒い呼吸を繰り返し、乱暴に汗を拭う少年


再び的に向き直ってクナイを投げる


筋は決して悪くない



背中のうちわが、懐古の念を抱かせる

性格は、アイツと似ても似つかないけど




しばらくそのまま観察していると、どうやら今度は体術の修行に移ったようだ


クナイや手裏剣を用いながら仮想の敵と戦う少年





「そんなんじゃ、大人にゃ勝てねえよ」



「ッ!?誰だ!!」




俺の全然消してない気配にも気付かず周りを見渡す少年



「さあ?……今の、もっかいやってみろ」



「…うるさい。俺は誰かに指図される筋合いは、」



「いいからやれ」


少し強い調子で言うとサスケは黙って一歩後退する


迷うように視線をさ迷わせてから、サスケは先ほどのように修行を始めた




「…踏み込みが甘い。タイミングも遅い」



「っ!…くそ!」



「もっと体重を乗せろ。それじゃ大したダメージにならん」



「はっ……はぁっ…」



「急所を覚えろ。ガキは長引けば長引くほど不利になる。一発で仕留められる場所を狙え」



ん、飲み込みは悪くない



仮想の敵じゃイメージしにくいか


影分身じゃダメージを受けた瞬間消えるので、俺は巻物の中から傀儡を取り出す


別に自分が動きたくないからとかじゃないから!!


傀儡のほうが手加減しやすいし、本物の肉体より軽い分ダメージも少ないだろう

まあ本気で打ちこみゃ一発K.O.だけど



しばらくして木から降りた俺は驚くサスケに対して特にコメントはしないまま修行を続ける




バシッバシッとぶつかり合う乾いた音


サスケの息も上がってるし、この辺にしとくか

子供の体にムリは禁物です


毎日こんなことしてたら体ぶっ壊れるって注意しとかなきゃなあ





ナルトの修行見ねえって言ったクセになんでサスケは!?と思うことのないように


俺は大蛇丸のことなんて好きじゃないからです
あいつに教わるくらいなら俺が教えてやるわ



カカシさんや自来也さんは俺も尊敬してる人だからその人の弟子には手出したくないけど

俺の親友の弟だぞ!!
あんな変態にやるかよばーか






「はい、おーわり」


「!」


パン、と手を叩いてから傀儡を巻物の中に納める


やっぱどんな大きさのものも突っ込めるんだから、巻物って便利だよなあ

ドラえもんもビックリだよ


おかげでおじさんの家はもー巻物だらけだよ
しまっちゃうおじさんだよもう





「お疲れ。つーかお前飲み物くらい持ってこいよ。脱水でぶっ倒れんぞ」


汗を袖で拭うサスケにお茶とタオルを投げる

それを受け取ってしばしこちらを見つめるサスケ

なんじゃ



「何?毒なんか入れてねーよ」


だってそれペットボトルだもの。口空いてないもの

あーでもなんか容器に工夫したら入れれるのかな?

穴空けてからそれ塞げばいいんだもんな
案外簡単にできそうかも



「…アンタ、名前は?」


「年上をアンタって言うな。あとこういう時は自分から名乗るモンだ」


「…うちは、サスケ」


俺は言ったぞとばかりにこちらをガン見してくるサスケ

うんお前の名前は元から知ってたんだけどね

嫌味なおじさんですどうもこんにちは



「俺は小笹琥太郎」


「琥太郎…」


「ん。…さてと、暗くなったし帰るわ。じゃーな」



ナルトが腹すかせて待ってるかなー?

今日の夕飯どうすっかな
ナス味噌食いたいけど、ナルトナスの触感が嫌だって駄々捏ねるんだよなあ



「っ、おい!」


「んあ? なーに少年」


「…サスケだ。もう忘れたのかよ」


「あーごめんごめん、で、何かなサスケ君」



「……また、来るか?」


俺の顔を見上げて、顔色を伺うようにサスケが俺を見つめる


俺がその目を見返せばサスケはさっと目をそらした





「さあな。なんで?」



「っ……また修行を、見てほしい…強く、なりたいんだ…!」



「……じゃあ、時間が空いたら来るよ。こー見えておじさん忙しいから」



「(おじさん…?)…構わない。来てくれるなら、いつだって」



おーおー大したデレじゃねえの
デレ全開だなサスケ君よお


目がギラギラしてますけどね
君本当にナルトと同じ8歳?可愛げもクソもねーよ。こえーよ



はあ、とため息ひとつ

俺の親友を殺そうとしてる奴に手を貸すことになるとはな





「あんま気負うなよ、サスケ」



イタチよりもやや硬いその髪をワシャワシャ撫でる

はっとしたように俺の腕を払うけど、その顔は赤い



「んじゃ、またな」



ひらひらと手を振って、飛雷針の術で家へと飛んだ






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