■転生したらNARUTOの世界だった

□トリカブト
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ちょこちょことナルトがついてくるのを確認しつついつも利用している八百屋に向かう


途中、甘栗甘、書かれた看板が目に入って足を止める


おー!こんなところにできたんか甘栗甘!


原作にもよく出ていた猪鹿蝶トリオとみたらしアンコの行きつけの店だ



ナルトが食べたいっていうおしるこもここにあるんじゃないか?

しかも、とびっきりおいしいやつが




「帰りにここ寄ろっか」



「…ん」



こくりと頷いたナルトは少し嬉しそうで、俺も口元が緩んだ


ナルトが素直に甘えてくれるまでどれくらい時間がかかるかな


元も純粋なナルトにきっといつか戻ってくれると思う




ナルトの凍ってしまった心を溶かすのにどれだけ時間がかかったって構わない




でも、早くあの陽だまりの笑顔が見たい












二人で歩いている内に八百屋についた



生姜生姜、っと…あ、これだ



「おじさん、これ、」




「っ!?お前なんてモン連れてんだ!!そのガキ、なんなのかわかってんのか!?」



突然の怒声に、隣のナルトがビクリと肩を震わせるのが見えた

八百屋の主人の声になんだなんだと他の客もこちらを見て、ナルトを視界に入れた瞬間その目が侮蔑の色を映した



「おい、アイツだ!…よくも、こんなとこに顔見せやがって」



「商品に触んじゃねえよ!そんなガキ連れてるやつに売るもんなんか、」





ぶつんと、何かが切れる音がした



ぐしゃあっ
手の中で生姜が砕けた




「うるせえんだよオッサン。……殺すぞ」



俺に睨まれ、殺気に当てられた八百屋の主人は声をあげる前に気絶したようで、失禁までしていた


そいつへの興味を失って振り返れば、こちらに飛んでくる石

こんなの当たるはずねえだろボケ


腕で頭を覆っているナルトの前に立ってクナイで軌道を逸らす。


投げられる石をクナイを持っていないほうの手で掴んで投げ返す



弾丸のような速さで飛んで行った石は男たちの頬を掠め、そこから血がしたたった



「っひ…!こ、っこの野郎!」



「力の差はわかってんだろ。これ以上やっても無駄だ」



「っ、うるせえ!!偉そうにしやがってこのガキが!」



「そうだ!元はと言えばてめえがその九尾の、」



禁忌を口にしようとした男の首を掴む


そのまま上へと持ちあげればそれほど大きくない男は地面から足が離れた



ぐっと指がめりこんで、じわじわと男の顔が赤く染まっていく


言葉を話すことはおろか、息だって吸わせてはやらない




「その言葉を、二度と口にしようと思うな。」


俺の顔を睨みながらじたばたと暴れる男


その瞳には恐怖の色だけでなく反抗心も見て取れた



ふうん…まだ従おうとしねえのか




「このまま、喉を潰してやろうか?別に首を折ってやってもいい」


ぐぐ、と力を込めればみしり骨の軋む音がした


どっと冷や汗をかいた男が目に涙を浮かべて懇願するように俺の腕を掴む


もう酸素を止めてしばらく経ったこともあり、意識も朦朧としているらしい



これ以上やったら死ぬか…

まあそれでもいいんだけど、流石に小学生の前で人殺すのもなあ



抵抗をやめて(できなくなって?)大人しくなった男の首から手を離す


どさりと重力のままに地面へと落ちる男



「っがはっ!げほっ…、っ…っは」



「てめえ、正気かよ…」


「ははっ…お前ら面白いこと言うなあ
俺からしてみればこっちのセリフなんだけど」


「何笑ってんだ!そのガキは俺たちから全て奪った!!」


「そうだ!!里の者が大勢死んだ!俺の娘も!」


「両親も弟もだ!」


「家も!なにもかもなくしたんだ!」




悲痛な叫び声をあげ、男たちは目に涙すら浮かべる


俺だって失ったものはたくさんある

こいつらの気持ちがわからないわけじゃない


でも…!



「ナルトのせいじゃないだろうが!!
悲しいのもつらいのもわかるさ!俺だって失った…恩師も、友達も…
でもそれはナルトがやったことじゃない!!どうしてこいつを憎むのがおかしいってわかんねえんだよ!!!」



力任せに殴った腕がレンガの壁を突き崩す


重い沈黙の中、ガラガラと崩れるレンガの音が響いた



人々は顔を覆って泣いていた

男たちはきつくこぶしを握りこんで俯いた






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