■転生したらNARUTOの世界だった

□東菊
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「いただきます」



手を合わせてそう言ったあと、ナルトを見る


「…いただきます」


その言葉に笑って、どーぞと促した



あー、俺がまず食べたほうがいいかな、とか考えてたけどナルトは案外普通に食べ始めて驚いた

二口目くらいから食べるスピードがぐんと上がって、むぐむぐと口いっぱいに頬張る姿に思わず笑ってしまう


「…ぁに、わらってんらよ」


「急ぎすぎなんだよばーか。もっと噛んで食べろ」



あと、口についてるから
口の端にべったりとついているシチューを拭ってやれば顔が真っ赤になった


あらま、いっちょまえに恥ずかしがってやんの



微笑ましいナルトの食事風景を見つつ俺も箸を進める



「つーか、サラダも食えよ」



「………野菜は、嫌いだってばよ」



「いや聞いてねーから。食えっつってんの」



「…………」


まただんまりかよ!
得意だねーナルトくんはそれ



「ガキの頃から好き嫌いしてっと背伸びないらしいぞ」



その言葉に反応したナルトがサラダをちらりと見つめてからゆっくりそれを口に運び出した


素直かよかわいいな

だめだ、笑うな俺…!
今ナルトの機嫌を損なえばサラダは二度と食べてくれなくなる!


とりあえず、初日とはいえ食事は穏やかに過ごせました、っと










それから数日経ってもナルトの態度自体そこまで大きく変化したことはないけど、まあ俺に怒鳴ったりはしてこなくなった



やっぱり俺の行動に反応して怯えたりはしてるけど、それはナルトの体に染みついてしまったトラウマなのだろう



それもゆっくりとではあるが改善はされているように思う。本当のところはわからないが




とりあえず最近は俺のいる生活にも慣れたようだ



食事を出せば食べるし、ゴミも片づけるようになった



会話はほとんどしないこともあるが、距離は少しずつ縮まっているように思う




がちゃ



「おかえり」



「……」


「おかえり、ナルト。ただいまは?」




「……ただいま」


「ん、いー子」


小さな声だけどちゃんと言ったのでよし!
わしわしっと頭を撫でてすぐに離れる


ナルトは人に触れられるのが苦手だから



いや、苦手というより…慣れていない

どうすればいいかわからないんだろう


戸惑うように視線をさ迷わせるか、俯くか、手を払ってくる



んー、やっぱ嫌なんかな

でも嫌なことはすぐやめろって言ってくるしなあ



夕食の用意をしつつ考えていると


「…あ」



しまった。
今夜は生姜焼きなのに、生姜を買い忘れていたのだ



チューブのやつは少しあるが、琥太郎はいつも生の生姜にこだわっていた




仕方ない…買いに行くか




財布を持ってナルトを見る


「ナルトー 買い物行くけどお前も来る?
なんかお菓子買っちゃる」


「いらないってばよ」


「まーまー。アイスでもなんでも買ってやるから」


「……おしるこ」



「俺じゃどこのがうまいかわかんないし、一緒に行こ」



そういうと渋々、ナルトは重い腰をあげた




つーかおしるこって…どっかの緑色のメガネを思い出すわ


ナルトもめっちゃ占いにハマったらどうしよう…






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