■転生したらNARUTOの世界だった

□白粉花
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「ここが、ナルトの家か…」



俺の前には古びたアパートが佇んでいる


雨の日はきっと雨漏りがするだろうなあと思わせるそのぼろさ


錆びた鉄の柱がなんとも不気味な雰囲気を醸し出している




まともな人間が、ましてや子供が住むような場所ではない



しかも、ここは里の隅。
わざわざこんなところに足を運ぶ者はいないだろう





火影の話では、ここに住んでいるのはナルトだけらしい






2階に住んでいるというナルトの部屋を目指してぎしぎしと嫌な音を立てる階段を上る



…よし、ここか



部屋の番号をもう一度確認してからドアを叩く



中の気配が様子を伺うように躊躇ってから、ゆっくりとドアに近づいてくる


がちゃ…




「……誰だってばよ」


10センチほどのドアの隙間から覗く青い瞳


ツンツンの金の髪も相まって、先生の小さい頃を見ている気分になる




俺の腰のあたりから見上げてくる瞳は不審者を見るようで、内心苦笑する




ふと目をやって、ドアを押しているその腕が棒のように細いことに気付く


良く見ればくりくりとした目の下にはうっすらとだが隈が張っている

よれたサイズの合わない服から伸びる手足は驚くほどに細く、頼りない





琥太郎はぞっとした



これが、8歳の子供の体か?


小学生くらいの子供はどこかふくふくしているものじゃないのか?

ナルトの体はまるで小枝のようで、少しでも力を入れて握れば折れてしまいそうだった





「何の用だってばよ。何もないなら早く帰れってば」



驚きのあまり数秒固まっていたことでナルトが不快感を覚えてしまったらしい


初対面の男にじろじろと見つめられるものだから気味悪がるのも仕方がない


つーかごめん。俺がされても無理だわ




「すまない、気を悪くしないでくれ。怪しい者じゃない」



「じゅーぶん怪しいってばよ」



警戒心むき出しで未だドアをあまりあけてくれないナルト


んー攻略難しそうだなあ



「今日からお前の世話役になった、小笹琥太郎だ。よろしく」




「…世話役なんていらねーってばよ。帰ってくれ」



一方的に話を打ち切ってドアを閉めようとするので隙間に足を滑り込ませる

ばーか
逃がすと思うなよ?



「ッ!なんなんだってばよ‼今更人の手なんて借りねーってば‼」



「落ちつけよ。俺はお前に手出したりしねえって」



どう足掻いても扉を閉めることはかなわないと悟ったナルトが俺の足を蹴るのをやめた


怯えるようにドアからナルトが離れてため息をつく



まあいいや、とりあえず



「ここじゃなんだし、中に入れてもらえる?」



お前に拒否権ないけど





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