ごちゃ混ぜ短編

□零といちゃいちゃ、の予定だった
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今日は休日



駄々をこねまくって零と同室にしてもらったバカは俺です。ごめんなさい




でもさーやっぱり好きな人と一緒に居たいって思うのは普通だよね



零と付き合ってからかなり経つけど、何年経っても好きなもんは好きっていうか、むしろどんどん好きになってる気がするなあ





付き合い始めの中学生の頃とかはちょっと俺の気持ちを伝えるだけで殴られたもんだけど、近頃はもう慣れて嬉しそうに笑うようになっちゃって



俺の心臓が壊れそうです零さん

なんでそんなに可愛いの








「ねー零」



「なんだ?」




本を読んでいたってちゃんと返事してくれる、けど、俺のこと見てくんないのがなんか嫌



こっち向けよばかー



いつも守護係のパトロールばっかで二人っきりになれないんだからさあ





ちょっとむくれつつ後ろから抱き着けば零が本から顔を上げる



「なんだよ」



少し振り向いて、仕方ないなあって感じで穏やかに笑う零はもう食べちゃいたいくらい可愛い





出会ったばかりの頃は噛みつかんばかりに警戒心バリバリで一切心を許してくれなかった零がこんなにも心を開いてくれてるのは多分俺にだけ



独占欲が満たされたのか零の笑顔に癒されたのかわからないけどとりあえず気分が良くなった俺は調子にのってちゅっと口の端にキスをした




「零、好きだよ」




「…ばーか」




優しい顔の零がふって笑ってもう死にそうなくらい胸がきゅーっと詰まる




悶えつつ零の肩にぐりぐりとすり寄ればくすぐったそうにした零がぽんぽんと頭を撫でてくれる



腕に伝わる零の鼓動が嬉しくて、少しだけ腕の力を強めた






「弘樹、そろそろ離れろ」




「なんで?」




「本が読めない」




「俺と本どっちが大事なのー」




「お前、それが言いたいだけだろ」




「ふは、バレた?」





言いつつ俺の腕から逃れようとしないからホント俺の零可愛い






ほら、本閉じちゃったくらいにしてー


俺の粘り勝ち!!俺がいるときに本なんか読めると思うなよ!






「零、こっち向いて」



「ん、」



方向を転換させてあぐらをかいた俺の足を跨ぎ、向かい合わせに座る



「本読む時は前髪あげろって言ってるだろー」



「…めんどくさい」



「敏腕美容師弘樹くんの腕前披露してあげよっか?」



「許すと思うか?」



「…いいと思うけどなあ、パッツン零も」



「殴るぞ」



「やだ」



丁度目にかかる零の前髪を掬ってピンでとめる


白い額があらわになって印象がかわる



「でこ出し可愛い」



顔を引き寄せて額にキスをすればちょっと顔を赤くした零にデコピンされる



「いて」



「一々キザなんだよお前は」



「可愛いって言われて嬉しいくせに」



うっすら赤い頬を撫でれば違う、と否定するけどお前が素直じゃないのなんてとっくに知ってんだよばーか零のばーか



「で?なんで最近断食してんの」



「…飯は食ってるだろ」



「普通のご飯はただの嗜好品でしょ?」



ほら、また目が紅くなってる


そう指摘すればばっと目をそらして俺の腕から逃れようと身じろぐ



このタイミングで離すと思ってる?

悪いけど俺だって長年ハンターやってんだから相手がヴァンパイアだろうがただの力勝負じゃ負けないよ




「ぜーろ。ちゃんと白状すれば離してあげるから」




「…別に、ほしいと思わなかったからだ」



「嘘つき。俺が寝てからいつも血液錠剤飲んでたくせに」



で、やっぱり飲めなくて吐いてたのも知ってる





なんだかなー


お前に血吸われたからって俺も吸血鬼になるわけじゃないし
(もしお前が純血種だったとしても差し出したけど)


俺としては全く気にしてないんだけどなあ




「なあ零、そろそろ腹くくりなよ」




「ッ…いらないんだよ‼血なんか欲しくない‼」



キャパオーバーになったのか騒ぎ出す零を押さえつけるも鋭く尖った爪が俺の頬を掠めた



「ッ…っ違う、欲しくない…」




血の匂いを嗅がないためか口を覆って数歩後ずさる零



じり、とゆっくり距離を詰める


大丈夫、出口は俺の後ろ

零は逃げられない





「零、お願いだから飲んで」



「っや、ばか来るな…!頼むから、」



「ずっと我慢して辛いのは零だよ。もし他の生徒襲っちゃったら大変だしね」



「しない、そんなことしないから、…っ弘樹、頼む、出てってくれ…」



泣きそうに顔を歪めてそう頼む零の願いを聞き入れるつもりは毛頭ない



激しい飢えで思考力も機動性も失った零を捕まえることなんて簡単だ



尚も暴れようとする零をなだめる




「零、好きだよ」



「やめてくれ…っ、俺は、人間でいたい…」




「大丈夫、零がなんだって俺はずっと好きだよ」




「弘樹…」




「もう考えないで。ほら、」




抱きしめたまま零の顔を首元に持ってくる



縋りつくように俺の体に回った腕が強く俺を抱きしめて



震える舌が首をくすぐったかと思えばひたりと尖った歯が押し当てられる感触




ぶつり



皮が破れる音が脳内に響き、熱した鉄を当てられたように首がジワリと熱くなる



ふ、と少し開いた口から息が漏れる




ずずっ……じゅ、っ




さらさらと揺れる零の髪をそっと撫でる





少しして口離した零がぼんやりとしたまま俺を見つめる



濡れた瞳が愛おしくて、涙の溜まった目尻にキスをする




「……」



「もしお前がレベルEに堕ちたら俺が殺してやるよ」



「本当か?」



「うん、だから俺のところにおいで」



他の誰かにこの役割は渡さない




たとえそれで命を失うことになろうとも










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