小説
□恋一夜
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「恋一夜」
「明日は何時に起きようかなー」
フミカはうきうきしながら、目覚まし時計をセットしていた。
「ちょっと早く起きよう、ケータ君も早く来てくれるだろうし」
目覚ましをセットし終え、フミカは窓へと向かった。
「うわー!今日はキレイな月・・・・」
窓を開けて、じっと月に魅入っていると―・・・
「ミカ・・・フミカ」
聞き覚えのある声が耳に入ってきた。
「え・・・お、オロチ!どうしたのこんな夜遅くに」
「・・・どうしてもお前に会いたくてやってきた」
「え////」
「中に・・・入れてはくれないか?」
「え・・・あ、いいけど・・・」
「すまないな」
パタン・・・
「・・・明日は何処かに出かけるのか?」
「え?知っているの?」
「ああ・・・聞いてしまってな。あの少年と話をしているのをつい・・・な」
「あ、うん・・・明日はちょっとケータ君とお出かけ・・・」
「・・・そうか」
また・・・どうしようもなく胸がざわめく。どうしてこんなにも―
「それより、オロチ、今夜は月がとってもキレイよ。見て」
フミカはニッコリと彼に笑いかける。
胸が高鳴りだす。
あの・・・可愛い微笑み―
「フミカ・・・」
オロチはその愛しい名を小さく呼ぶと、フミカの身体をきつく抱きしめた。
「きゃ・・・////お、オロチ」
「あの少年のことを・・・どう思っている?」
大人気ない質問だと思った。けれど聞けずにはいられなかった。
「け・・・ケータ君のこと?」
「・・・・」
「ケータ君は・・・その・・・クラスメートよ。ただの・・・・そんな好きとかそういんじゃ・・・」
「けれどいつも会っているではないか」
「それは友達だから・・・もう・・・オロチ変よ。どうしたの今夜は」
変・・・そう言われても仕方ないかもしれない・・・けれどもどうしてもフミカへの想いは抑えることができない。