小説
□お前をこんなにも愛しているのに・・・
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「お前をこんなにも愛しているのに・・・」
「フミちゃん、今日の給食おいしかったね!」
「うん!」
会話が盛り上がっているケータとフミカ。
オロチはその様子を上空からじっと見つめていた。
「ねえ、ケータ君、今日うちで一緒に宿題やらない?」
「え?いいの////」
「うん!分からないとこ教えてあげる」
「う、うん!分かったすぐ行くよ!」
「うん、バイバーイ!待ってるね」
フミカ・・・あの少年を家に呼ぶのか・・・・
オロチはフゥッと小さくため息を吐いて、フミカのもとへ降りていった。
「フミカ・・・・」
「きゃっ!びっくりした・・・オロチ!久しぶり」
久しぶりって・・・私はずっとお前のことをみていたんだが・・・
なんだか無性に胸が痛む。
「なにか用事?」
「いや・・・別に特に用事はないのだが―」
「そう、じゃあ私帰るね。ケータ君が来ちゃうから」
「フミカ・・・」
「なぁに?」
「あの少年は・・・あの少年とどういう関係なのだ?」
「え・・・?」
オロチは真剣にフミカの瞳を見つめて彼女の返答を待つ。
「や・・・やだぁ!ケータ君はただのクラスメートで友達よ!」
「・・・そ、そうか」
心の中で少し安心した自分がいることにオロチは気が付いた。
「じゃあね、オロチ!」
「ああ・・・・」
やはりその笑みは可愛い・・・。
だが、フミカは分かっていない。私がどれだけお前のことを愛しているのか・・・どれだけお前のことを見つめてきたか・・・そう思うと切なくなる。