▼遠野の月

□六話
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なんとか悪夢事件も解決し、普通の日常に戻った。
くぁ〜とあくびをして頭をかく。


『はよー晃夜…』

【おはよう李啓】

『んー』


ぼーっと外を眺める。
ところで、と晃夜が声をかける。


【李啓。お客さんが来てるよ?】

『んー客ぅ?』

【うん、懐かしいお客さん】

『ふーん…』


誰だ、と思いつつ着物を着替え
お気に入りの着物を羽織る。

未だに何故か眠い。
寝起きは良い方なのだが…


『やけに今日は眠い…』


ゆっくりと実戦場に向かう。
そこにはいつものメンバーがいた。


『はよー』

「おはよう李啓。遅かったわね」

『今日はいつも以上に眠ぃ』

「お、李啓も?
 オイラーも今日起きれなかったんだー」

「お前はいつもだろ」

「そうそう、けほ」

「みんなしてヒデェ!!」


そう言って笑っているとふと気付く。


『あれ、イタクと淡島は?』

「そういえば…まだ来てないわね」

「珍しいな、イタクがいないのって」


土彦の言葉に李啓は首をかしげる。
思い出してみるといつも淡島は李啓を実戦場に連れてくる係だった。
だが、今日は来ていない。


『何かあったのか…』

「え?」

「大変だあー!!」


淡島がズザザーッと音を立てて実戦場に来た。
それに全員が驚く。


「おはよう淡島。」

「おはよう…じゃなくて大変なんだよ!」

『何が?』

「イタクが…イタクが連れて行かれちまった!」

「えぇ!?」


皆が驚く中李啓は眉間にしわを寄せた。


『どこに』

「いや、分かんねえけど…黒いスーツ着た奴が来て…」

『もっと詳しく思い出せねえか?』

「お、俺が見たわけじゃねえもん…近くにいた経立だし…
 ただ長い黒髪にポニーテールだから女じゃないかって…」

『黒い髪にポニーテール…黒いスーツ、なあ』


ふと思い出したのは李啓がここに来た時に立ちふさがった男たち。
確かにあの男たちもスーツを着ていた。

だが


―あいつらは倒したからわかるわけがない…


じゃあ、誰が?
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