▼遠野の月
□五話
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暗い京都の街
妖怪が多くて
時にはもう戻れない人間さえもいる
「人間風情が…」
何度も聞いた声
「喰ってやる!!」
何度も見た恨みの色
すべてを
『さようなら』
斬り捨てた
1000体の妖怪を斬り捨て
いつの日にか妖怪になった
【もうお主は人間に戻れぬ】
人間なんて、もうとっくの昔に捨ててきた
【そしていつの日か
大切なものを失ってお前は自分を殺す】
その声はいつもよりも低く
目の前には血まみれの鯉伴
『っ鯉伴!!!』
鯉伴に近づこうとすれば動けない
胸を見れば見覚えのある刀
晃夜だと気づくのに時間はかからなかった
後ろを振り向けば
【さあ】
笑顔を貼り付けた
【死ね、影殺しの李啓】
自分がいた