サクラビブリア

□黒の教団壊滅事件
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―――――
―――




「……というワケだ。悪いな…こんな理由で」

「『(アホくさ……っ!!)』」


コムリンから隠れて壁に背を預けたイリスとアレンは
リーバーとミリアムの回想を聞いて思考がシンクロした
イリスは頭上を飛び回るティムキャンピーを手で払いながら
担いでいたミリアムをゆっくり下ろした
思い出してまた腹が立ったらしいミリアムの頭を撫でつつ
アレンに背負われ未だ目を覚まさないリナリーを見た


『リナは大丈夫なの?』

「コムリンの麻酔針くらって眠ってるだけだ」

『そう…』

「あ、ミリアムは怪我とかしてませんか?」

『してないよ。っていうかミリーでいいよアレン。みんなそう呼ぶから』

「じゃあ、お言葉に甘えて」


目じりを下げたアレンにミリアムも一瞬怒りを忘れて微笑んだ
なんだか和やかになる笑みだ
すると、リーバーが自嘲気味に口にした


「はあぁ〜〜ラクになりたいなんて思ったバチかなぁ…」

「え?」

「お前達エクソシストや探索部隊(ファインダー)は命懸けで戦場にいるってのにさ。悪いな。おかえり」

『イリスちゃんもおかえり!』

『ただいま、ミリー』


抱きついて来るミリアムを抱きしめ返し、イリスも微かに微笑みを浮かべた
それにミリアムは目を輝かせた


『(ひさしぶりに見た!イリスちゃんの笑顔♪)』

「アレン?」

『『?』』


リーバーはぼーっとして返事をしないアレンを不審に思い呼びかける
アレンはハッとして返事を返した


「え…あっはい!」

「何だよ。もしかして任務の傷が痛むのか?報告はうけてるぞ」

『そ、そうだ!イリスちゃんも!!』

『私は平気』

「僕も平気です。た、ただいま」

「『?』」

『……』


乾いた笑い声をあげるアレンにリーバーとミリアムは首を傾げ
イリスはチラッと彼を見た


「おおーい。無事かー!!」

「室長!」

『みんな』


と、今度は三角錐型のエレベーターに乗った科学班一同が現れた
コムイは愛しの妹の姿を見つけて泣き叫んでいた


「班長ぉ早くこっちへ!」

「あ、アレンとイリスとトマも帰ってたの?
こっち来い早く…「リナリィ――まだスリムかい―――――!?」」

「落ち着けお前ら…」

『うるさいとバレるんじゃない?』

「こ、こわいこと言わないでくださいよイリス」

『そ、そうだよ〜ホントに来ちゃったらどうすんの……』


泣き叫ぶコムイにボロボロの科学班の班員たち
エレベーターから落ちそうになる彼らにリーバーは呆れ、イリスは冷静に状況を分析し
アレンは表情を引き攣らせ、ミリアムは涙ぐんだ。彼女の言葉は、ほどなくして





「来たぁ」





真になってしまった
壁をぶち破りミリアムたちの背後から現れたコムリン
そのまま吹き抜け部分に身を乗り出すようにするヤツに普段は温厚な科学班もキレた
三角錐の一面から砲台が飛び出し、ジョニーが鬼の形相でコントローラーを握る


「インテリをナメんなよぉ!」


「「「壊れ―――!!」」」


「!!ボクのコムリンを撃つなあ!!!」

「!?」



カチッ





ドルルルルルルルルル





「どわわわわっ」

『キャーッ死ぬ―っ!!』

『……チッ』


コムリンを撃たせまいとコムイがジョニーを後ろから羽交い絞めにした瞬間
ジョニーは勢いよく飛びついて来たコムイのせいでスイッチを押し
三角錐は回転し、おまけにそのまま砲台から弾が飛び出しそこかしこに攻撃を加えた
乱れ飛んでくる弾を避けるイリスたちは一瞬死を覚悟した
リーバーはミリアムと共に自分を引っ張ったイリスに心からの感謝を述べると三角錐に怒鳴った



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