サクラビブリア

□黒の教団壊滅事件
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「はい、ミリー」

『ありがとリナリー!!』


リナリーから手渡されたマグカップに幸せそうに口を付けるミリアム
苦いものはあまり好きではないがリナリーの入れたコーヒーは別だ

そんな至福のひと時を満喫するミリアムの耳に
さらに彼女を高揚させる機械仕掛けの足音が入ってきた


『!!』

「おーいみんな起きてる―――?」



ガションガションガション





『わぁぁぁぁぁっ!』





「見て見て!ジャーン♪我が科学班の救世主こと





「コムリンU」でーす!!」





『うわぁ〜すっごい!!おっきいぃぃ!!ごついー!!』

「なんで喜んでんだよミリー」

「室長ぉ…何スかそのムダにごっついロボは…」

「つか帽子かぶってるよ…」


一人飛び跳ねんばかりのミリアムを遠巻きにしたリーバーたち科学班一同は
彼らのトップでありリナリー・リーの兄である室長、コムイ・リーに半目になった
一体全体何のためのロボットなのか、さっぱり分からない
しかしコムイはそんな部下の視線に晒されても全く堪えることなく
むしろ嬉しそうに自分とお揃いのベレー帽をかぶったコムリンに手を振った


「だからコムリンだってば。たった今やっと完成したんだよ―――――
ボクの頭脳と人格を完全にコピーしたイノセンス開発専用の万能ロボットさ♪
あらゆる資料の解析はもちろん対アクマ武器の修理、適合者のケアサポートも行うんだ



まさにもうひとりのボク!!これで仕事がラクになるぞ―――――!!!」



ピシッと決めポーズのコムイに
半目だった科学班一同は一変して目に涙を浮かべてコムイに抱きついた


「室長ぉ〜V」

「うんうんボクってすごいよね。うやまいなさいほめたたえなさい」

『へぇぇっ!!』

「楽しそうね、ミリアム」


目を輝かせてコムリンを見上げるミリアムに、リナリーは可笑しそうにクスクスと笑った
そんなリナリーに、ミリアムは当然と胸を張ってワインレッド色の眼鏡を押し上げる


『だってすごいよこの光沢!
それに重量だってかなりあるはずなのにしっかり立ってるし!
分解してみたいな〜♪あー、でもどんな動きするか見てからだなー♪』


るんるんとコムリンの周りを回るミリアムにリナリーはもう一度笑った。すると



ウイィィィィィ



「それ…兄さんのコーヒー…………」


コムリンの腕がリナリーの持つお盆の上に置いてあった
コーヒーinマグカップに伸び、そのままカップを仰いだ
コーヒーを飲むコムリンにミリアムは驚いて興奮気味にコムイを見た


『室長!コムリンってコーヒー飲むの!?すっごい!!』

「何言ってるんだミリー
いくらボクにそっくりだといってもコムリンはロボットだよ?
コーヒーは…………」


・・・・・・


「飲んだの…?」


一瞬の沈黙の後、そう問いかけたコムイの声は不安に揺れていた

するとその不安が的中した

コムリンがショートしたように音を響かせると、注射針をリナリーに刺したのだ


「!?」

『キャー!!』

「リナリー!!!」


慌てて駆けより、コムイがリナリーを抱き起した
リナリーは意識を失っていた。その時、電子音が混ざった声がした



《私…は…コム…リン》



『う……え………』



《エクソシスト強く…する…》



「コ…コムリン?」



《この女…はエクソ…シスト





この女をマッチョに改良手術すべし!!





「なにぃ――――――!!!」





ドギャーン





『何言ってんのこのポンコツー!!!』

「っじゃねーだろ!!行くぞミリー!!!」

『この…ゼッタイ……





ゼッタイ分解してやるーッ!!!!!






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