☆★☆本編☆★☆


□第一章
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「茉莉花(まりか)〜、まだ決められへんの?」

「どれにしようか迷っちゃって…。美桜ちゃんも一緒に選んで!」

6月のある日。

うちは修学旅行で京都に来てはる従妹の美桜と待ち合わせて、自由時間の今、土産屋におった。

「茉莉花、時間掛かり過ぎ…。もう予定過ぎてる」

「ごめん、翔太くん。もう少しだけ!」

もう何回このやりとりを聞いたやろか…?

茉莉花の幼馴染みの結城はんは、さっきからこの調子でずっと待たされとる。

「仕方ねぇよ、翔太。これが女だ。そう思って諦めろ」

「ゆう、あんたは女子の何を知っとる言うんや」

うちが“ゆう”と呼んだ男、もとい林 佑亮は、幼い頃からなんだかんだで一緒に過ごした幼馴染み。

せやけど、小学校を卒業した後すぐに、父親の転勤で東京へと引っ越して行かはった。

しかし、なんの因果か茉莉花達とおんなし中学・高校に入学、今となっては結城はんの親友らしい。

(まさか3年経ってもこんな風に関わり合うとは思わんかったけど…)

「ねぇ、こっちのお店も見ていい?」

この店での会計を終わらせたと思たら、茉莉花の足はもう次の店へと向かっとった 。

結城はんは溜め息をひとつ吐くと、半ば諦めた表情で何も言わんと着いて行く。

結城はんも諦めたようやし、うちもゆうと顔を見合せ、二人が入って行った店に追い掛けるように入って行った。
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