Story of the phrase boy

□Prologue
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ある者は真実を知る為に
ある者は解答を得る為に
進み続ける 道無き道を
彼は言う 真実が知りたいと
彼女は願う 答えが欲しいと
錯綜する思いは何時しか調和し、
新たなる物語を紡ぎ出す。
これは、とある少年の物語……

此処は、何処だろう。
目が覚めて一番にそう思った。
今迄見慣れてきた天井とは違う。
装飾が少なく、且つ、地味だ。
少年は暫く其の儘ベッドに横たわっていた。
此の少年の名はハヤテ、と言う。顔立ちは東洋の其れであり、身長は標準並み、と言うか少し低い位である。歳は13、4位であろうか。少々幼さの残る顔立ちは整っており、襟足で揃えた髪を除けば、少女と言っても暴露はしないだろう。
彼は東方の辺境に在る島国の出身、らしい。と言うのも、彼が其の地で過ごしたのは2、3歳位迄だった様で、其の後は在る組織に引き取られたからである。其の組織は名前は<教導院>。暗殺者の養成をしていた組織である。
四年前、襲来した炎の魔神によって、<教導院>は一夜にして壊滅した。燃え盛る炎の中、少年は闇精霊を封じた指輪を盗み出し、施設の外へ逃走する。破壊と殺戮の道具として育てられてきた彼は、不毛の地を当てもなく彷徨い続けた。
そして数週間後。流れ着いた辺境の街で、彼は裏の稼業を取り仕切る<骸連盟>の末端と接触した。真面な身分もなく、戦闘技能以外に生きる術を持たない彼には、其れしか考えつかなかったのだ。伸び放題の髪にボロボロの身形でアジトを訪ねて来た少年を、連中は嘲笑った。子供1人に何が出来ると。だが、彼らの雇う用心棒を一瞬で叩きのめした瞬間、その評価は変わった。 少年は言った。僕はどんな仕事でも請け負う、と。少年が<骸連盟>に求めた報酬は、一冊の本だった。時の政府によって封印指定されている、禁書――<魔王の鍵の書>。引き換えに請け負った仕事は――大陸最強の精霊使い<宵闇の魔女>の暗殺だった。

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