本当の自分
□第1章
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「きゃあああああ!!??」
女性の声がした。
煙の中を掻き分けて声の場所へ行くと、女性が倒れていた。
────彼女、ロイド・アーヴィングはその光景を顔を青白くして見ていた。
(………もしかして……)
ロイドはバレないようにして、女性を斬った人を探す。
そして、剣を持って血を振るっているのは自分だった。
(!?さっき皆が言っていた<ロイドに殺される>ってやっぱり俺だったんだ!)
「エミル!!お前は逃げろ!逃げて生き延びろ!!」
男性の声がした。
しかし、エミルと呼ばれた少年は
「………で、でも………」
と動かなかった。
否、動けなかったのだ。
瞬間、男性はロイド(偽)に斬られた。
男性の体がザクロのように飛び散る。
「………っぅあ………」
少年は目に涙を溜め、男性と女性──恐らく両親だろう──を交互に見て、絶叫した。
しかし、そんなことは関係なく、ロイド(偽)は少年に斬りかかる。
そこで少年の意識が無くなった…………