BRATHERS CONFLICT

□♯1
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ここは武蔵野市、吉祥寺の住宅街。
私は地図を片手に、知らない道を歩いている。





「スズ、緊張しているのか?」





『う……ん、ちょっとね。』





「まあ、無理もない。一気にキョーダイが11人もできるのだからな。」





私の肩に乗っているこの子は、リスのジュリ。
小さい時からずっと一緒だったジュリは、私の親代わりでもある。





「『サンライズ・レジデンス』か。こんな一等地にマンションを丸々一棟所有しているというのは、すごい話だな。」





『うん……。一体、どんなところなんだろう。』





それに……、





『キョーダイになる人達ともこれから、うまくやっていけるといいんだけど……。』





それに、ジュリとおしゃべりできることも隠しておけるかな……。





とはいえ、どうして会話できるの? って言われても、私にもわからないし……。





「スズ、違う。そこの角は左だ。」





『……え!?』





「まったく、おまえは地図も読めないのか。あぶなっかしいな。」





『ごめん、ごめん。ありがとう、ジュリ。』





「ほら、深呼吸でもしてみろ。一度、心を落ちつかせたらどうだ?」





『うん……。すー、はー。すー、はー。すー、はー。すー、はー。すー、はー。すー、はー。すー、はー。』





「おい。そんなに深呼吸してどうするんだ! おまえ今、本当にいっぱいいっぱいなんだな……。」





『うう。だって……。』





「いいから落ちつけ。……私がついているだろう?」





『……そうだね! ありがとう、ジュリ。少し緊張もほぐれたみたい。』





「では、行くか。」





この時の私はまだ知らない。
誰かを想って切なくなることや、苦しくなることを。





会いたい時に会えるのに、胸の内を伝えてはいけない関係があることを。





5月22日。
今日は私にとって、忘れられない日。
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