ブリーチ
□誕生日 ウル織
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「そういえば、もうすぐクリスマスだね?」
ソファーに腰かけている織姫は、少し困惑気味に目の前の光景を眺めている。
「女、なぜそんなことを聞く?」
いそいそと箱からサンタやトナカイをはじめ、カラフルな玉や星をだすウルキオラ。
相変わらずの無表情で織姫に応えるも、作業の手は休めない。
「その作業みれば、ほとんどの人がわかると思うよ」
「・・・・・」
もみの木を出し作業が一区切りしたところで、ウルキオラは織姫の前に立つ
。
「藍染様が、『心』踊る催しだと仰った。人間には心の安定が必要不可欠だ。と、その為の準備だ。女、愉しいのか?」
「確かにクリスマスも心踊る?まぁ楽しみなイベントだね。でも、他にもいっぱいあるよ?例えばお誕生とか」
織姫の言葉に、ウルキオラの眉がぴくりと上がる。
「誕生日・・・」
「うん。一年に一度しかない日だもん。産まれてきてくれてありがとうって感謝するの」
太陽のような織姫の笑顔に、ウルキオラは少し目を丸くする。
もっとも、それを悟らせるほど彼の無表情はやわではない。
「女、お前は誰かに祝ってほしいのか?」
「えっ?・・・あたしはお祝いされるより『したい側』かな。大事な人に喜んでもらえると嬉しいもん」
かつての想い出にはにかんでしまう織姫。
現世で過ごしていた彼女の想い出。
愉しそうに想い出を語る彼女の姿に妙なざわつきわを覚える。
(なんだこの感じは)
無意識に自分の孔に触れるが、ざわつきは静まらない。
「ウルキオラ、どうしたの?具合悪いの?」
「いや・・。・・・触れるな」
その言葉に伸ばしかけた手をとめる織姫。
同時に扉から控えめなノックが響く。
「食事の時間だったな。今片す」
テーブルの周りの飾りを綺麗にまとめ、部屋のすみに置く。
タイミングを見計らって、給仕破面が部屋に入る。
「わぁ。今日も美味しそう」
「・・・・」
並べられた料理を見て、嬉しそうに食事をする織姫と、そんな彼女を見つめながら紅茶を飲むウルキオラ。
これが、今の二人の『日常』
ざわつきはいつの間にか収まっていた。
*
月明かりが部屋に射し込む。
織姫の部屋はクリスマス装飾で華やか彩られた。
が、1人ベッドで寝転がる織姫はため息をつく。
「ウルキオラ、どうしてあんな表情‹かお›したのかな」
はたからみたらいつもの無表情。
だが、織姫には違って見えた。
1日3回ある食事の時間
『二人』で過ごす時間
何気ない、それこそ他愛もない会話に彼はいつも付き合ってくれる。
それが義務であろうと。
織姫にはかけがえのないものである。だからこそ、彼の表情はいつも注意深く観察していた。
「あたし、なんか変な事言っちゃったかな?」
だれに言うわけでもなく、独り呟く。
思い返せば、食事中の会話も普段より声が少し弱く、口もきつく結んであり、まさに『心ここにあらず』といった感じだった。
(ウルキオラ・・・)
ふと、部屋のすみ置いてあるクリスマスの箱に目がいく。
可愛らしいリボンが目立つ箱だ
興味がわけば即行動の織姫。
恐る恐る箱の中身を開ける。
「わぁ〜くまさんだ♪」
箱に入っていた白い熊に、歓喜の声をあげる。
「可愛い♪これも飾りなのかな?それともプレゼント?」
そこまで言って気づく。
『誕生日』
確かに彼はそう言った。
ウルキオラが考えてしまったキーワード。
本能的に織姫は察すると、月に向かって祈りを捧げる。
(神様!今すぐ私の悩みを聞いてください!天使を遣わして下さい)
コンコン!ガチャ
「織姫ちゃん?いてはりますよね?」
「すごい!きつねさんがやってきた」
「・・・僕、これでも人型の部類やけどなぁ?藍染はんがお呼びだそうで、迎えに来たわ」
(お祈り届いた!!神=藍染)
目を輝かせる織姫に市丸も首を傾げるが、いつもの笑みで「なんやようわからんが、はよおいで」と、優しく促す。