NARUTO

□短編 イタチ
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大事なもの



レンは今日も調理場に立っている。
唸り声をあげながら、メニューに悩む

一人で暁全員の料理を賄う彼女が、業務上もっとも力をいれているのがペインの健康食だ。
「どうしよう。ここだけの材料じゃ足りないや」

先程倉庫を覗いたら、ペイン用の材料をがないのを知り別の料理を用意しなければならなくなった。

「あ、今日確か鬼鮫くんいたよなぁ」

ふいに思い出した鬼鮫の姿。
思い付いたら即行動。

レンは恋人の部屋に向かった。

「お前は一体なにをしているんだ」
イタチの訝しげな視線にも無視して、ベットの下から漁猟用の網を引っ張り出す。
「よし。これだ。あとで説明するから」

言うことだけいうと、勢いよく飛び出した。
長く共にいると、おおよその検討がつく。
イタチは読みかけの本に目印(団子割引券)を入れ、静かに立ち上がった。

網を手に鬼鮫の部屋をノックすると、返事がかえってきた。
「これはレンさん、どうかしましたか?」
「鬼鮫くんにお願いがあってきたの」

レンはにっこりと微笑んだ。


アジトに男の悲痛な叫びが響いた。

「なんだぁ??悲鳴だよなウン。」
「うるせぇな。何事だ」
芸術コンビがリビングにくると、その姿に息を飲んだ 。

「後生です!!!レンさん。それだけはやめてください。本当におねがいします!!!」
「うっせーな。ちぃっとばかし煮るだけだ。文句をいうな!」

大鍋の前で片手で鮫肌をもつレン
その足にしがみつく鬼鮫。涙をながしながら懇願するも聞き入れてもらえそうにない。

「料理の事で頭に血がのぼってるな。あれではまともに対応しても無意味」
料理の事になると我を忘れる悪癖は、暁ないでは周知の事実で冷静に団子を食するイタチ。

「って、イタチ冷静になってないで止めろよな、うん」
「とにかく喧しい。なんとかしろ」
外野が見守るなか、鬼鮫が足蹴にされてる。

「ちぃとばかし出汁とるだけだ。便利な刀持ってるんだからケチるな」
「だから、私の刀がとるのはチャクラですよ!!出汁ではありませんよーーーー」
「そこまでだ。いい加減にしろ」
鬼鮫の羽交い締めを受けて、なおも暴れる恋人から獲物を取り上げる。
そのまま、サソリの方に投げ渡す。

「あーー!イタチの裏切りもん。それ返せ!!出汁とるの」
「ありがとうございますイタチさん!サソリさん絶対に渡さないでくださいよ!!!」
「出汁は別のでとれ。鬼鮫の戦力低下は阻止する」

ふてくされるレンは、とっさに団子の一つをかじる。

そのとき、場が凍るほど
恐ろしく冷たい気迫がリビングを覆った。

「レン、、、自分が何をしたのか分かっているか?」

怒りを帯びた声色

その声に徐々に冷静になっていくレン。汗が流れる。

「い、、、イタチ。あのこれはその。。。」

泣きそうな女を横目に鬼鮫たちは合掌すると、いそいそとリビングをあとにする。
とばっちりは勘弁である。

触らぬ神に祟りなし。

リビングは二人きりとなった。
「これは、おしおきが必要だな」

滅多に見せないイタチの微笑み。
普通の笑顔だと心踊るが、向けられた笑みはとても意地悪で妖艶な笑み。

思わず後ずさる。が、すぐに距離を詰められる。

その邪悪な笑みに背筋が凍る。
「ご・・・ごめんなさい。イタチごめんなさい・・・」
「レン、詫びは不要。 団子の不始末・・・どうつける?」

壁にぶつかるレン
彼女の耳元でイタチは囁くように告げる。

「今日の残り時間を俺のために使え」

その命令に、レンは静かに頷いた。

頑固で独占欲が強いイタチ。

改めて、イタチのものには手を出さない方が良いと学んだ一日だった。






アジトから離れた場所にいる長門は、届けられた包みを開ける
「小南」
「なに?」
「レンさん、なにかあったか?」

長門の意図が読めず、首をかしげる。

「これ、団子だよな?」
「ええ。団子ね」

団子は食事なのかと疑問に感じつつも、長門は食べ始めた。

「固いな。。。」
「長門。噛む力が落ちてるわね。お茶よ」
時々むせながらも、なんとか団子を流し込む。

「小南、レンさんに、今度は軟らかいものが良いと伝えてくれ」
「仕方のない人ね。わかったわ」

アジトの惨劇を知らない二人は、穏やかな時を過ごしていた。



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