夢 D

□V
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「あんたさぁ、これできる? 無理?」

最初はだれに話しかけているのかわからなかった

でも明らかにその男の視線は俺に向いている

「俺…ですか…?」

「あんた以外にだれがいるのよ」

豪快に笑って、勝手に話を進める

「この手のテープ編集、やったことない?」

明らかに素人でもできる仕事だ この人は
何を考えているのだろうか

「普通に できますけど…」

「だろうねぇ! できるっしょ、ならざーっとよろしく!」

理解に苦しんだ 俺は馬鹿にされているのか
新手の嫌がらせか?

必死に考えを巡らせた、

が テープの編集を終えるときになっても
理解できなかった

何の意図があって 俺に仕事を依頼したのか
聞く価値は あるのか…
でも聞くしかないと思った

彼が僕に抱く感情は…

「おぉ! 嬉野さん!おわりましたかぁ!」
そういってまた彼は豪快に笑う

その真意はなんなのか 俺は意を決して聞いた

「あの… どうして 俺なんですか?」

「んぁ?」

「その、どうしてよく知らない 俺に仕事を…」

ダメだ 口ごもってうまくしゃべれない 
微妙な空気にしてしまう そう思った瞬間

「理由なんてないっすよ。 おたくが暇そうにしてたから。」

「へ?」

拍子抜けしてしまった 無駄に悩んでしまった自分に
腹が立った

そうか、彼は暇そうな俺だから仕事をよこしたんだ

期待でもないが 何かを崩されたような気分だった―

が、彼は話を続ける

「とゆうか、知らないとか 知ってるとかじゃないっすよ。
 俺の直感で 依頼したんですよ。」

難しいことを言ってるのか 本心なのか
彼は僕の中で「つかみどころのない男」という印象がついた

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