Fate/Zero -EXTRA-

□EXTRA 07
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セイバー、ランサー、ソーサラーがキャスターと対峙して、死力を尽くして戦っていると言うのに、キャスターは愚か、海魔の群れすら片付かない。再生能力が邪魔で、本丸を叩けない状況が続いている。

「ここまで埒があかんとなると、呆れるのを通り越して驚きだな」

「私、魔力が底をつけば戦えません。このままでは、そっちの方が先に来そうです」

「あの魔導書だ。奴の宝具がある限り、この戦局は変えられない」

「なるほどな。そういうことか。
だが、あの青瓢箪の手から本を叩き落とそうとなれば、何はともあれ、この雑魚共の壁を突破するしかないわけだ」

「2人共、このあたりで、一か八か賭けに出る気はないか?」

「……と言われましても、私にはせいぜい援護か足止めしかできませんが、それでよろしければ」

「根負けするようで癪だが、このまま雑魚とばかり遊んでいるのも芸が無い。良いだろう。乗ったぞ、セイバー」

「私が道を開く。ただ一度きりのチャンスだ。ランサー、風を踏んで走れるか?」

「ふっ、なるほど。造作も無い」

「ソーサラー。貴女は、この場にいる怪物共を、一斉に食い止める術を持っていますか?」

「マスターに負担こそかけますが、有りますよ。緊急事態ですし、使用許可は下りています。
お気になさらず、いつでもどうぞ」

キャスター討伐同盟は、その強い結束を活かし、起死回生の大勝負に出ることで満場一致した。
キャスターはそんな魂胆を知る由もなく、セイバーを別人と勘違いしたまま、止めを刺すのも近いと確信/勘違いしている。その思い違いこそ、自分を殺すなど、微塵も思わない。
キャスターの一言で、海魔が突撃を開始した。同時に、セイバーが一撃を叫ぶ。

「風王、鉄槌(ストライク・エア)!」

途端に生じた強風により、多くの海魔が吹き飛ぶ。
横から襲撃しようとした別の海魔とその群れに対し、ソーサラーが渾身の力を込め、一撃を放った。

「いざや散れ、常世咲き裂く怨天の花……常世咲き裂く大殺界(ヒガンバナセッショウセキ)!」

敵に大ダメージを与えつつ、毒を付与するこの技。ダメージ自体にキャスターの海魔が怯むことは無いだろうが、脅威なのはその毒だ。再生能力を阻害し、その動きを止めることに成功している。それだけで充分だった。

「なっ!?」

「っ、いざ!」

ソーサラーの攻撃を免れた海魔が2体、突撃したランサーを襲撃しようとするも、彼の持つ2本の槍で容易く倒される。

「抉れ! “―――破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)!!!―――”」

……一瞬だが、勝負は決した。ランサーの赤い槍は、キャスターの魔導書を捉え、傷付けた。
キャスターは悲鳴を上げ、全ての海魔が崩れ落ちた。
これで当分、キャスターが本による魔術を行使することは不可能となった。
少なくとも、すぐに海魔が現れることは無い。根本的解決には至らないが、まずまずの結果だろう。
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