Fate/Zero -EXTRA-

□EXTRA 03
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てんてこ舞いになりかけたのをアーチャーが必死に留め、ランサーと青のセイバーの戦闘を観察した。
ランサーの宝具である赤い槍が開帳され、青のセイバーの見えない剣が暴かれ始める。

「うむ、確かにあれはアーサー王の剣だ。
英霊なれば誰もが知っておる伝説の聖剣……いや、英霊でなくとも、知名度は高いか。奏者とて解るであろう?」

『うん。
アーチャーの投影武器に、とんでもなく威力高いのがあったけど、それの原型(オリジナル)、で良いんだよね?』

「ああ。私は本物の『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』を見たことがあるからね。見間違えるはずがない」

それにしても、さっきからアーチャーといいセイバーといい、正規に召喚されたサーヴァントがいる以上、名前が混同しそうで面倒臭い。アーチャーの外套を引っ張り、胸の内を伝えた。
するとアーチャーも同じことを考えていたのか、すぐさま提案が返ってきた。

「似たような、別のクラス名をつければいいだろう。私は“狙撃手(スナイパー)”。
セイバーは……得物からして“剣士(フェンサー)”。まだ見ぬキャスターは“妖術師(ソーサラー)”。
あの金ぴかは、そのまま“弓兵(アーチャー)”で構わんだろう」

『……アーチャーはアーチャーだけ。ギルには使いたくない』

「マスター……」

「奏者。良い雰囲気の所悪いが、余からも意見だ」

『?うん、良いよ』

「そなたの意見を汲むのなら、金ぴかを“皇帝(エンペラー)”にでも据えておけ。
あやつは不服かもしれんが、そなたの意見を無下にはせん。そしてあの紅茶も名を変えよ!」

「……だから私は先程スナイパーと――」

『“執事(バトラー)”にしようよ』

……私を舐めてもらっては困る。
月の裏側でも一件を、こちらに来たから忘れる、なんて都合の良いことが起きるだろうか、いや、そんなことはない。確かに表に戻った時は忘れていたが、ギルがサーヴァントになった時、私は裏のことを思い出した。
総ての私に矛盾が発生しないよう、ムーンセルはその事象を演算機能で探し出し、記憶を私に付与している。
だから、SG2(奉仕体質)だって記憶にちゃんとある!

『だって戦闘(バトル)代行者だし』

「それとこれとは意味合いが違う!」

「良いではないか。奏者の頼みだぞ?惚れた弱みでコロッと行ってしまえばよい」

「私はマスターにそう言う類いの感情は――」

『無いなら寧ろ執事の鑑!宜しくね、バトラー』

「何でさ!」

戦闘そっちのけで、とんだ茶番劇である。(by.作者)
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