BSD -影の魔女-
□影の魔女 03
1ページ/9ページ
花塗れになった床の清掃は、功労者とは云え私が原因であるが故に、自ら掃除していた。
自分で蒔いた種、基、花だ。乱歩先輩と敦君は一般的な探偵社らしい仕事に出て行った。
「お邪魔します。二階堂さん」
『給仕さん。どうかされました?』
襲撃を見込んで、いつもより早く出てきていたので、何か粗相をしたのであれば申し訳ないと思い、入口に近付き首を傾げる。
するとクレジットカードを差し出された。そう云えば置いてきてしまっていた。
「太宰さんの分もとのことでしたが、相当な額ですよ……?」
『大丈夫ですよ。これで破綻する、なんてことはありえませんから。それにちゃっかり清算済みでしょう?』
「それは勿論。今回はカードの返却と、太宰さんの対応についてお話があって……」
『今回のことは内密に。いつも通りに今後も取り立てて下さい。
もし戻ってくるのであれば、私に返済という形で』
「では今後のツケも、二階堂さんに回す事に?」
『いつも迷惑を掛けていますから、これ位はさせて下さい』
「それは良いんですけど……献身的ですね……」
『あれでいて大切な上司ですから』
「こんなに可愛らしい恋人さんがいるのに、あの人は何しているんですかね」
『……また太宰さんが法螺吹き込んだんですか。国木田先輩。太宰さん、探してきますね』
了解の応答を受け、給仕さんの横を擦り抜けた。
「行ってらっしゃい。……そう云えば、いないこと、何で御存知なのかしら?」