FGO -バグ発生-
□イベント
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世界の時間の回り方など知る由もないが、現実世界から見た画面の中では、やれハロウィンだのやれクリスマスだの、イベントで盛り上がっていた。
特に今挙げた2つについては、それに乗じた英霊がいるという点で共通している。
時期も過ぎれば古い英霊になり果てるだけだというのに。
「口を慎め士野香」
『あああああ埋めないで!プレゼントの袋で押し潰さないで……』
「ちょっと!士野香が死んじゃうじゃない!!」
「ふん。元のクラスでも格下の貴様にとやかく言われる覚えは――」
『ああああジャンクフードばんざあい……』
「士野香!?」
「ご無事ですか、士野香先輩」
『もきゅもきゅ(南瓜の煮付け美味しい)』
「お口に合ったようで何よりです」
「どうやって意思疎通しているのよ……」
あの後マシュに助けられ、ハロエリちゃんの余った南瓜を使って煮物を作ってくれた。
今が冬かはさておき美味である。良い嫁になれる後輩がいて嬉しい。
ジャンク好きのサンタさんには悪いが、ありえない精神汚染のお世話になったのだ。
こういう反応をしても致し方ないと思う。ていうか私、貴方のトナカイであってそうでないし。
騎士であってそうでないし。ラムレイやエトよりカヴァス派だし。
「ほう?カヴァスを知っているのか」
『にわかですみませんー。犬か馬か解らないカヴァスさんなら知ってますー』
Fateの影響というわけではないが、アーサー王関連の書籍を読み漁る中で見たことがある。
……ん?心を読まれている気がする。
「サンタの特権だ。全世界の子供たちの願いを聞くには必要だからな」
「でも、サンタさんのスキルには贈り物こそありますが、心眼系のものはないですよね?」
『サンタさんって単なる聖人だぞ!施しの英雄だぞ!』
「士野香先輩、色々偏ってます!」
「盾を持っていながら使わない弓兵、復活できない剣士、宝具使用で倒れる弓兵……。
この世界には理不尽がまかり通っているだろう。同じことだ」
ぎゃんぎゃんと吠えるように喧嘩する私たちは気づけなかった。
放置しているハロエリちゃんが、いそいそと何かを始めたことに。
「私の歌を、聞けーーー!!」
『「「!?!?」」』
どこぞの歌姫宜しく叫ぶ。振り向いたが時既に遅し。ハロエリちゃんの背後には例のお城。
構えた槍はマイク代わり。南瓜ランタンがこっちを見て、跳ねて笑っている。
相性はサンタさんの方が強いが、そのサンタさんの顔面すら青に染まっている。
マシュは盾を構えているが、それで抑えられるのは物理ダメージであって、精神(耳)はお留守である。
『サンタさん、幼気な一般人を守ってくださいお願いします!!』
「剣の魔力をジェット噴射(エンジン)にして逃げるぞ!!」
「後方、盾を展開します!!」
「あ、ちょっと!!逃がさないわよ!!」
ランタンがもの凄い勢いで追跡してくる。光る目と口。聞こえる音が大きくなっている。つまり……。
『あのランタン、スピーカーだったの!?』
「何!?自動追尾スピーカーだと!?そんな物、礼装やクラウ・ソラスだけで充分だ!!」
「憤った心も、アタシの歌を聞けば鎮まるのよ!BGMにして、華麗な空中ドライブでもしてきなさい」
嗚呼。輝けるうんたらって、クラウ・ソラスも関連するケルトだったかな。ていうかまた反省文か……。
イケメンとラブコメしてみたかったである……。
【おまけ】
「あ、気がついたみたいだね」
『……あれ、生きてる』
「君がカルデア内で死ぬようなことはないよ。何はともあれ無事なら……はい。反省文」
『……現実は甘くない。あーでもここは現実じゃない』
「優しくされたいなら、ダビデ王やロビンフッドに会ってきたらどうだい?」
『残念イケメン……』
「僕はそんなにいいものじゃないからね」