とうらぶ -蓬日和-

□蓬日和 07
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「なぜ夏がお嫌いで?あまりにも回答が雑だったので、これを十一(とおあまりひとつ)とさせていただきます」

『だって、暑さは凌げる限界がありますし、何より虫!活発過ぎて……!』

「……先程、主には嫌いなものをお聞きしましたが」

『虫全般じゃないから違います!蝶や蜻蛉、天道虫に蛍。そういうものは好きです!』

「なるほど。そういうものなのですね」

「(大将の部屋に、蚊帳を用意しておくか……)」





「主は、学校に通われている以上、学年というものがあると思うのですが、どうなんです?」

『一応ありますけど……。名義上ですよ』

「たしか、大学一年、でしたよね」

『あ、はい。でも名義上です』





「主の通う学校について、簡潔に語られてください」

『ええ……?審神者の養成所、ですかね?
分け隔てなく審神者を育成しているのは素晴らしいと思いますけど、やっぱり実力には差があります。
ちゃんと段階ごとに組分けを編成すべきですし、そうでなくても問題は山積しているというのに――』

「主がその学校を気に入っていないことはよく解りました」





「ああ。これは先程に類似した質問ですね。主が以前通われていた学校はどういう所でしたか?」

『私立の女子高……個人が、目的をもって設立した、女性だけの学び舎です。
私はあの学校の方が好きでしたね。友人とは気兼ねなく話せましたし、家からも近かったですし』

「そのようですね。先程と違って、表情が活き活きとされていますよ」

「(やっぱり、普通の生活が恋しいのでしょうね……)」

『今の学校と政府が嫌なだけで、皆さんとの生活には不満なんてありませんよ』

「……有難いお言葉です、主」





「今更ですが、主は、こう呼ばれたい、という願望などはございますか?」

『……せっかく解禁されたので、名前で呼んでほしいとは思いますよ。勿論、無理はされないで良いんですけどね』

「……千穂」

『!?』

「ああ、すみません。流石に急に呼べば驚かれますよね」

『え、いや、それは良かったんですけど、まさか呼んでもらえるとは……。太郎さん、固そうな印象だったので……』

「それは間違っていませんよ。……しかし、私には中々合わない気が……」

『ですから、無理はされないでくださいよ!気が向いたらで良いんです!(いやいや、心臓に悪すぎ!!)』





「主のご家族は?」

『(戻った……。)母方の祖母と、母が。あと、親戚も一緒に住んでいました』

「現代では珍しく、大所帯なのですね」

『元々お偉い家系だったらしいんですよ。今では全くですけど』

「因みに、その家に刀剣は無かったのですか?」

『流石にそこまでは……』





「主は、ご自身の性格をどう思われていますか?」

『自己評価……男っぽい、女の子らしくない、生真面目』

「どうも全て嫌悪感が漂っているように思えます」

『だって嫌ですから。頼りがいがあるのは褒め言葉ですけど、それって男性らしさなんですよ!?
女子なのに女子と見られていないこと、いくら取り繕えても凹みますからね!』

「でも女性扱いされるのは?」

『……まあ、苦手ですよ』

「女性らしく振る舞うのは?」

『……苦手です』

「(より凹ましちゃ駄目ですよ!!)」





「合わない性格はありますか?」

「(ケアも無しに次に進むの!?)」

『粘着質って言って、伝わります?』

「……解りはしますけど、もしかして、話に聞くいじめの件ですか?」

『それがきっかけというわけではありませんけど、あれは駄目ですね。
他にも、合わないというか、嫌いな性格は沢山ありますけど……』

「おや、意外ですね。貴女は様々なことに笑顔で寛大に対応をされていることが多いと思うのですが」

『取り繕えているんですよ。傲慢、怠惰、自尊あたりが駄目です』

「嫌いと合わないの違いは?」

『嫌いな方は、関わらなければ済みますが、合わないは……死んでやりたくなります』

「(主様、死んじゃ駄目ですよ……)」

「みすみす貴女を死なせはしませんよ。いざとなれば、貴女を本丸に隔離してでも護ります」

『……あれ?どうしてそこまで話が飛躍して……?』





「こんのすけをどう思いますか?」

『政府の手下です。信用なりません。でも喋るし知性も確認できるので、生かしています』

「かなり恐ろしい言葉が聞こえましたね。良いのですか?」

『政府に話を持っていく係は必要です。使えるものは使いますよ』





「主は様々な武器を用いていますが、解説はできますか?」

『一応できますけど、長くなりますよ?』





「では名称くらいで結構ですので」

『主に用いているのは、式神・鏡・攻撃の札です。えっと、刀はあまり……』

「ですが、護身で必ず帯刀されていますよね?」

『殆ど見せかけですよ。10回振ったら疲れます』

「常人は二、三度で音を上げますよ。それに振りが定まりません」

『そりゃあそうでしょう。あんな重いもの』

「見せかけですか?」

『……違いますね』
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