ホットロード

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NK「ははっ笑 いい顔してる」



終わってから、呆然とした。

余韻が抜けきれなくて。

まだ、あの声が耳に残ってる。



NK「いいでしょ、隆二」



『………えっ?』



NK「あいつは天才だから」



何も言っていないのにわかったみたい。

私が、イマイチに心をもっていかれたこと。



KNJ「アリス!」



『じろー、』



KNJ「すごいやろ、俺の仲間」



『………うん、すごすぎた』



GN「アリスー!俺のこと見てた?!」



『見てたよ。さすがわんこ』



GN「犬じゃねぇよ!」



じろーがわんちゃんを連れてきてくれたけど、他のメンバーはいなかった。

忙しいんだろうな、きっと。



KNJ「がんちゃん行かんくてええの?」



GN「こっちの台詞だけど」



『何かあるの?』



KNJ「出待ちがおんねん。でも俺はダルいからパス〜」



GN「俺も今日はアリスが来てるからパス〜」



出待ちがいるほど人気があるんだ。



NK「とっとと行って握手でもしてこいよ。店じまいできねぇだろ」



さっきいじっていた機械を片付けながら言うなおさん。

たぶん、照明や音響をやっていたんだと思う。



RJ「おい、」



2階席で雑談していると入口から聞こえたドスの効いた声。



KNJ「げっ、隆二」



RJ「剛典の追っかけが全然帰んねぇから早く行って片付けてこい」



GN「えぇー」



RJ「代わりに臣が捕まってブチギレてんぞ」



GN「怖っ!今すぐ行きます」



ものすごい速さで階段をかけおりたわんちゃん。

と、入れ違いで私の隣に座ったイマイチ。



NK「ここ禁煙なんすけどー」



RJ「まぁ、堅いこと言わず」



なおさんの忠告も無視して煙草に火をつけた。



KNJ「お前ボーカルやのに煙草吸うなや」



RJ「無理。これなきゃ死ぬ」



KNJ「………俺にも一本」



RJ「健二郎ハイライト嫌いじゃん」



KNJ「まぁ、ええわ」



私を挟んで煙草を吸うふたり。



あんまり煙草の匂いは得意じゃないけど、なぜか許せた。

イメージ通りだったからかもしれない。



RJ「まだ殴られたとこいてぇんだけど」



『………自業自得でしょ』



RJ「歌いづらくてしょうがねぇんだよ」



『普通にうまかったけど』



RJ「それ褒めてるつもりかよ」



KNJ「ただ会話するだけやのに火花散らすのやめ!」



じろーがいなかったらきっと喧嘩になるんだろう。

イマイチは気が強いし、私も負けず嫌いだから。



『あれ、なんていう曲?最初のやつ』



RJ「FIGHTERS」



『なんか、すごいイマイチっぽいと思ったよ』



RJ「………俺が作った曲だからな」



KNJ「俺らの曲、ほとんど隆二が作っとるんよ」



なおさんが、イマイチを天才だと言った意味がわかった気がした。

こういう人を天才って言うんだろうなって、妙に納得できた。
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