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□第12章:予想外な来客者
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「おめでとうございます、大輝さん!」


古い店や廃墟のビルが並び立つ建物の中で誰かの歓喜の声がした。


「何もめでたくねぇ!」


最初に歓喜の声を上げた金色の髪をした背の高い少年の隣にいた低めの少年が不機嫌そうに言った。


「いや、だって……。シンも聞いてただろ?大輝さんに彼女ができたんだぞ!嬉しいじゃん」
「俺に彼女ができたからって何でお前が女みたいに泣いて喜んでるわけ?ひくんだけど……」


俺は尚の大袈裟過ぎるリアクションに若干ひいて見ていた。
心底呆れている。


「でも、大輝もあんなに言ってたくせに結局は付き合うんだな」
「別に」


隣に座っていた安達がニヤニヤと笑いを含ませるように言った。


「いいじゃないですか!大輝さんが決めた事ですし」
「まあ、いいんじゃね?」

尚はあまりにも大袈裟な喜び方で俺の手をぶんぶんと握りしめている。
安達も何だかんだ言って反対はしなかった。


「俺は絶対認めない!」


その中で1人だけ批判する声が上がる。


「なんでだよ、シン?どうしたんだよー」


シンはぶすーっとずっと不機嫌だった。


「シンは大輝の事憧れてるもんなー」
「俺は憧れさせる要素は与えてないけど」
「大輝さん、俺にその女に会わせてください!」
「ヤダ」
「即答!?」


シンに桜を会わせる気はない。
他のメンバーだって同じだ。


「お前に紹介して何言うつもり?」
「そ、それは……。大輝さんに"近づくな"というつ――い"だぁ"!?」


ゴンッと鈍い音がした。


「お前、アホなの?俺の下にアホと馬鹿はいない」
「馬鹿って俺の事?」


叩かれて泣くシンの隣で尚が苦い顔をしていた。


「尚だって嫌じゃないのかよ!」
「んー、全然。別に俺は大輝さんが決めた事だし、何も言う事はないし」


案外尚はあっさりしていた。

尚は俺の1つ上で高校2年生だ。年上のはずなのに全然見えない。
《BLACK CROSS》内では一番のお調子者だけど割りとしっかりしている。
逆にシンは《BLACK CROSS》メンバーの中では一番年下で尚とは結構仲が良い。普段は中学生らしくない冷静さがある。
だが、たまに落ち着きがない。


「とにかく!シンは無駄な事をするなよ」
「やーい、シン怒られたー」


しかし、本当に大丈夫なんだろうか?
コイツら二人が一緒に行動すると一番厄介だ。
シンも尚もああ見えても俺よか頭はいい方だし、何か桜にしなきゃいいけど。
あんなこと言っていた尚は大丈夫だと思いたいけど本当にシンと一緒だと何するか分からんし、どっちにしろ心配だ。
俺は妙な不安を抱いていた。




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