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□第9書:光と変化
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「はぁ………」
登校中、私は凄く気が重かった。
原因は分かってる。
昨日の事が胸に突き刺さっている。
〜 〜 〜
「な、何すんのよ!?」
急にキスをしてきた怜治君の頬に私は思いっきり手を出した。
軽く右手に痛みが走った。
「…………」
思わず怜治君を睨んだ。
「……何その目。だって、覚悟が出来てたんでしょ!?」
「…………」
確かにそうだ。
私は悔しい気持ちで唇を噛んだ。
少し血の味がした。
恋人になればこれはなんでもない行為なんだ。
一生記憶に残りそうだった。
〜 〜 〜
正しく考えれば誰のせいでもない。
これは、自分のせいだ。
自分の思考の甘さが悪かったんだ。
そう考えているうちに教室の前まで来てしまった。
あの時、目があった気がした。
西条君と………。
実際、自分の過去を後悔して考えていてもどうしようもないわけで、それが突如全部消えるわけでもない。
ただ、時間が過ぎるだけで、無駄な瞬間が深く刻まれていくだけだ。
「どうかしたの、桜?さっきからぼーっとしてるけど………」
「うん、大丈夫だよ。ほら、席戻りなよ……授業始まるよ!?」
「そうだねー」
舞には言えない。
こんなこと言えるはずがない。
きっと舞はまだ、西条君と関係があると思っていて心から応援してくれる。
それが逆に辛い。
「……まだ、来てない」
授業中西条君の席がある後ろをちらりと見た。
「やっぱり、気のせいだったのかな………?」
私がため息をしていたら急に教室のドアが開いた。
「西条、何時だと思ってるんだ!!」
西条君だった。
西条君は珍しく耳にイヤホンをしてなかった。
そのままカバンを片手に先生の横を通り過ぎていった。
「ぁ……」
まっすぐ西条君は私の横を通り過ぎ、自分の席に座った。
そんなの分かってた。
彼には関係がない事だし、目があった事なんて気のせいにすぎない。
想うたびに胸の痛みが増していった。
私は、人を好きになる資格がない事を今さらながら知った気がした。
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