PLAY GAME

□第9書:光と変化
1ページ/4ページ




「はぁ………」


登校中、私は凄く気が重かった。
原因は分かってる。
昨日の事が胸に突き刺さっている。





〜 〜 〜


「な、何すんのよ!?」


急にキスをしてきた怜治君の頬に私は思いっきり手を出した。
軽く右手に痛みが走った。

「…………」


思わず怜治君を睨んだ。


「……何その目。だって、覚悟が出来てたんでしょ!?」
「…………」


確かにそうだ。
私は悔しい気持ちで唇を噛んだ。
少し血の味がした。
恋人になればこれはなんでもない行為なんだ。


一生記憶に残りそうだった。

〜 〜 〜






正しく考えれば誰のせいでもない。
これは、自分のせいだ。
自分の思考の甘さが悪かったんだ。
そう考えているうちに教室の前まで来てしまった。
あの時、目があった気がした。



西条君と………。



実際、自分の過去を後悔して考えていてもどうしようもないわけで、それが突如全部消えるわけでもない。


ただ、時間が過ぎるだけで、無駄な瞬間が深く刻まれていくだけだ。


「どうかしたの、桜?さっきからぼーっとしてるけど………」
「うん、大丈夫だよ。ほら、席戻りなよ……授業始まるよ!?」
「そうだねー」


舞には言えない。
こんなこと言えるはずがない。
きっと舞はまだ、西条君と関係があると思っていて心から応援してくれる。
それが逆に辛い。


「……まだ、来てない」


授業中西条君の席がある後ろをちらりと見た。


「やっぱり、気のせいだったのかな………?」


私がため息をしていたら急に教室のドアが開いた。


「西条、何時だと思ってるんだ!!」


西条君だった。
西条君は珍しく耳にイヤホンをしてなかった。
そのままカバンを片手に先生の横を通り過ぎていった。





「ぁ……」





まっすぐ西条君は私の横を通り過ぎ、自分の席に座った。


そんなの分かってた。

彼には関係がない事だし、目があった事なんて気のせいにすぎない。
想うたびに胸の痛みが増していった。



私は、人を好きになる資格がない事を今さらながら知った気がした。



.

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ