薄桜鬼
□唇
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『山南さん、何してるんですか?』
『おや、雪村くん…月を見ていたんですよ』
内心、動揺したが顔には出ないようにしてニッコリ彼女に微笑んだ
彼女は、私が羅刹になってから頻繁に様子を見に来る
優しい彼女は哀れな私を放っておけないのだろう
『今夜は…月が綺麗ですね』
『えぇ……そろそろお部屋に戻られたらいかかですか?肌寒いので風邪をひいたら困りますよ』
『……』
『どうしましたか?』
『山南さんは…わたしがお嫌いですか…?』
『………』
『今だって…一緒にいたくないのかなって…』
少しだけ沈黙が続き意を決して私は本音を話し出した
『私はね、雪村くん、怖いんです』
『怖い…?』
『いつ理性を失って…貴女を傷つけるか分からない』
『わたしのため…?』
驚いた彼女は目を大きく見開いてじっと見てきたが、私は少し微笑むくらいしか出来なかった