薄桜鬼

□距離
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『おい雪村危ないぞ』

『え!?』


少し急いで歩いているといきなり後ろからぐいと手をひかれた


『うわっ!!千鶴!?悪い、ぶつかるとこだったな』

『あ、平助くん…わたしの方こそごめんね、前見てなくて』

『いやいやいいって!じゃ俺急いでるからまたな!』


たたっと走って平助くんは去って行ってしまった

すぐにわたしはくるりと振り返り助けてくれた人に向き合った


『斎藤さん、ありがとうございました』

『いやいい、でもあんたは危なっかしくて目が離せないな』

『え…?』

『何でもない、俺は行く』

『あ、はい』


それから斎藤さんと別れ一日が過ぎ気付けば夜更けになっていた


『はぁ…なかなか今日は眠れないな…水でも飲みに行こうかな…』


そのままわたしは水を飲もうと部屋を出た

少し歩き角を曲がろうとした時いきなり何かにぶつかった


『きゃっ!!』

『またあんたか…』

『さ、斎藤さん、すいません!』

『俺も悪かった、何故あんたはこんな所に…?』

『少し眠れなくて水でも飲みに行こうかなと思いまして…』

『そうか、では俺がついて行ってやろう、あんただけでは心配だ』

『え、でも…』

『気にするな、俺も喉が乾いた』


するりと斎藤さんの手が伸びてきてわたしの手を掴む

驚いたけれど少しきつく手を握り返した


『………』

『あの…斎藤さん…』

『いや、すまない』

『……?』
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