トリップしちゃった系女子です
□1初めまして、知ってる人達
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「わっ……違うよ! あのっ、土方さん、私覚えてな……きゃっ!!」
前後に跳ねながらボクシングのような真似をする少女を避けながら、土方さんを顧みる。
「確かに言ってはいた。ま、寝ぼけてやがったから信用はしなかったけどな」
「んで、実際はどうなんだ?本当にテレビを通って来たのかィ?」
「うーんと……それって必要な情報、かな?」
当然私もそうだとは思っているが、淡い期待を抱き、一応尋ねてみる。
「当たり前だろ。来た方法が判れば帰る方法のヒントも得られるかも知れないからな」
こちらを見もせずに答えたのは銀さん。この人たちに聞かれたことを誤魔化すのは無理なのかもしれない。……ならば、腹をくくって、堂々と答えるしかない。
「そうだよ。私は万事屋のこのテレビを通ってこっちに来た。昨日の……多分夕方に」
顔をあげて、しっかり銀さんの目を見据えて私は言い切った。
……あれ? なんか皆、変な顔してる。
「俺んちのテレビを抜けてきたァァ!? 何それいつ!? 確かに昨日の夕方は依頼があったからいなかったけども!!!」
「マジでか。だからテレビの角度が曲がってたアルな」
「神楽ちゃんは落ち着きすぎだから! えぇぇぇ、本当にこのテレビを!!!???」
「うん。ずっとここにいるわけにもいかないと思って、とりあえず出て歩いてたら土方さんに捕まり、色々聞かれて今に至るって感じ……です」
「そ……そっか。うーん……今更だけど、本当に未来の江戸から来たの?」
新八の問に一瞬戸惑ったが、正しくはここの未来ではなくとも、江戸の未来の東京からだから、嘘にはならないと、実に都合の良い勝手な言い分で、私は頷いた。
「未来から来たって話に関しては、俺も信用して良いと考えている」
そんなことを言い出したのはなんと一番疑り深そうな、土方さんだった。