トリップしちゃった系女子です
□1初めまして、知ってる人達
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インターホンを土方さんが押してすぐ、はーいと少年のものらしき返事が聞こえた。……聞こえたのだが、一向に出てこない。
「あの……返事、聞こえた……よね」
「……聞こえたな」
短い返事をされると会話が続かなくなくなる。私の人見知りが少なからず発動しているからだろう。
それともやっぱり、嫌われて───。
「お待たせしてすみません!」
ネガティブな思考を止めてくれたのは、空けられた戸とメガネの少年。
メガネの少年と言っても、小学生でもなければ蝶ネクタイもつけていないし、年齢も私と同じくらいだった。っていうか新八。
「あれ、あなたたちは──────」
新八が不思議そうに土方さんや沖田くんを見るのを、私は首をかしげて眺めていた。
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「未来から来たから帰る方法を探してほしい?何、もしかしてその子電波さん?」
「知るか。……こっちだって半信半疑なんだ。昨日通報があって行ってみたらこんなガキがふらふら歩いてたんだよ」
「それで自分とこに連れ帰ったアルか。腐りきった警察アルな」
「身分証明もしねえで逃げやがったからだよ! ここに来たのも仕方なしに、だ!」
「それで彼女は……本当に未来から来たと?」
新八がお茶を出しながら会話に混ざる。目があった彼に軽く会釈をしてお茶に口をつけた。……おいしい。
「本人はそう言ってたぜ。本当かどうかなんて知りやせんけど」
「面倒事押し付けようってか。つーか、んなブッ飛んだ依頼今まで来たこと無いからね?どうしていいのか俺たちにもわかんねーよ」
胸に棘が刺さったようだった。
“面倒事”
やっぱりそうなんだ。……そうだよね。帰り方もわからないのに帰してほしいなんて。行くあてもない私なんて。ただ邪魔なだけだ。
目に溜まり始めた水滴を隠すために俯き、唇を噛む。
銀さんはそれに気付かないのか、質問を続けた。
「そもそも……どうやってここに来たんだ?」
「えと、それは……」
「テレビから出てきたって言ってやした」
誤魔化す間もなく追い討ちをかける沖田くん。衝撃的すぎて涙も引っ込んだよ。
私そんなこと話したっけ!? 全く記憶にない。
「お前テレビから出てきたアルか!?私そんな奴貞子以外知らないヨ!!!」
「お、沖田くん、私そんなこと言ったっけ……!?」
「覚えてないのか? まぁ寝かけてるとこに質問したからな」
ファイティングポーズの神楽ちゃんから目線を離して答えた土方さんに、私は青ざめながらゆっくり顔を向けた。