□Harry Potter□
□第十章:漏れ鍋
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あれから数日してハーマイオニーと待ち合わせして「漏れ鍋」へと向かった。
−第十章−
「今年の夏は暑かったわね。私は思わず避暑地へと向かったわ」
ハーマイオニーは地図を見ながら話す。
「それは羨ましい」
どこか上の空のリナにハーマイオニーは驚いたように顔を見つめる。
「どうしたの?貴女がそんな顔をするなんて」
「どんな顔?」とリナは笑って答えるとハーマイオニーは肩を竦めた。
2人はようやく漏れ鍋へとたどり着くと、そこは既に重要人物たちが勢ぞろいしていた。
そんな光景にハーマイオニーは気にも留めず真っ先にハリーにハグをする。
「散々だったわね」
そう告げるハーマイオニーにハリーは頷いていた。
そんな彼らを見てモリーは声を掛けた。
「子どもたちは上に行ってて」
促すようにモリーはハリーたちの背中を押し、子供達は仕方がなく階段を上った。
―――バタン
と部屋の扉を閉め、子供達しかいない部屋でハーマイオニーは首を振っていた。
「一体あの人たちは何を企んでいるの?」
そんな言葉に双子はニヤリと笑みを浮かべる。
「そういう事なら任せな」
その言葉にハーマイオニーはため息を吐くも、同じく笑みを浮かべた。
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階段に身を顰めながら大人たちの会話を盗み聞きしている。
「よく聞こえないわ」
小声でハリーに告げるハーマイオニーにハリーも頷いていた。
そんな中、リナの隣りにジョージが座る。
「そんなジロジロ見ないで」とリナはジョージに告げるもジョージはニヤッと笑みを浮かべる。
「シーモアと仲が良いみたいだな」
「やっぱりお母さんから聞いたんだ」
興味なさ気に答えるリナにジョージは呆れたように息を吐いた。
「お前も普通の女なんだな」
「何が言いたいわけ?」
ジョージの態度にリナは不服そうにする。
「モテる男の誘いを受けるってことはそうだろ?」と話すジョージにリナは思いついたように眉を上げる。
「そうね。彼とは長い付き合いになりそう」
「へぇ〜、てっきり兄さんに惚れこんでるのかと思ったけど」
嫌味を込めるジョージにリナの眉がピクリと動く。
「ねぇ、私は未だに貴方が双子のどちらか見分けが付かないの。そんな人に知ったような口をきいてもらいたくはないわけ」
肩を竦めて答えるリナにジョージの顔付きが変わっていく。
「ヤケクソか」
そんなリナにジョージは興ざめと言った表情で顔を逸らす。
リナもまた大人たちに目線を戻すと何やら神妙な面持ちで話していることに気が付く。
そしてある一言が耳に入った。
「シリウス・ブラックが脱走した」
その言葉にハリーとリナは目を合わせる。