□Harry Potter□
□第七章:恥と伝聞
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その頃、ウィーズリー家は大騒ぎだった。
「急いでジニー!ジェーンの結婚式が始まっちゃうわよ!」
正装に着替えているモリーは大声を張っていた。
−第七章−
ジェーンの結婚式が直に始まるという事で、ウィーズリー家は全員揃って外へと出た。
車は2台でギルバート家へと向かう。
そんな車の中でロンは外を見つめながらふとため息を吐いた。
「どうしたんだ?」
弟のため息に気が付いたフレッドは笑いながら尋ねると、ロンは驚いた。
「え?何が?」
「大きなため息を零してたよな?」
「ああ」とジョージが頷くとロンは肩を竦めた。
「だって、知らない人の結婚式って退屈じゃんか」
リナの姉だからといって、ロンは別に行く必要なんじゃないか、と考えていた。
結婚式なんか退屈な行事だと。
「まぁ、そう言うなって」と運転しながらビルは苦笑いを浮かべるとジョージは首を傾げた。
「そういやリナの姉さんってどんな子だったの?」
ふいに尋ねられビルは眉を顰めながら昔を振り返った。
「リナと違って落ち着きのない奴だったな。動物で例えるとジェーンは犬でリナは猫って感じだ」
その答えに弟たちは「なるほど」と頷いた。
そんなビルにフレッドは笑う。
「ビルも早く結婚しろよ?」
「うるさいぞ」
弟の生意気な言葉にビルは笑ってフレッドの頭を叩いた。
それから間もなくして車はギルバート家に到着する。すでに何台か車が停まっており、ご参列の多さを物語っていた。
ようやく車を停めると、リナの母親が顔を出す。
『本日は、ご多忙中にも関わらずご列席をいただき誠にありがとうございます』
深々と頭を下げる母親にモリーも頭を下げた。
「こちらこそお招きくださりありがとうございます」
お礼の言葉を並べウィーズリー家はギルバート邸へと入っていった。
数多くの客人たちを見つめながらウィーズリー家の大黒柱であるアーサーは冷や汗を掻いた。
「お偉いさんばかりが揃っているな」
ハンカチを額に当て汗を拭き取る。そんな夫に目を向けずモリーは辺りを見渡した。
「変ねぇ。リナの姿がないわ」
モリーはリナの姿を探していたが、一向に見つけることが出来なかった。
すると、真っ白な純潔のドレスを身に纏ったジェーンが階段を降りてきて、会場内は拍手喝采となる。
階段の下にはフィアンセのセスが笑顔で花嫁を待っている。その姿にモリーは目を奪われた。
教会では挙げず敢て自宅で結婚式を、と考えていたジェーンはある想いがあったのだ。
温かい眼差しで見守る知人友人の間を通り庭のテントへと向かうと参列者たちは2人の後を追った。
テント内は真っ白に飾られ教会よりも神秘的だったと誰もが思うだろう。
新郎新婦を囲むように参列者は並ぶと、セスはジェーンの唇に口づけをした。
―――パチパチ
テント内に幸せを祝する拍手が響いた。