□Harry Potter□
□第六章:大きな一歩
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深夜の夜、ゴロゴロとトランクを引きずるリナの姿があった。
思い切って家を飛び出してみたものの、行く先など思い浮かばなかった。
-第六章-
春の夜だったが、その日は肌寒いものだった。
レザーを羽織っているというのに何故か寒気が襲う。一瞬、家へ戻ることも考えたが自分のプライドが許さなかった。
その時、思いついた先がホグワーツだった。だがそこまで自分は馬鹿ではない。
休み明けまで随分と日があるのだ。
眠さから頭が働かない為、リナは道路にトランクを置きその上に座った。何台か車が目の前で停まり、男たちが口笛を吹いてくる。
冷やかしもいい所だとリナは呆れていると、見覚えのある大きな靴が足元に見えた。
見上げるとそこにはあの大きな男が立っていた。
「ハグリットかぁ…」
どうせなら世話好きのビルあたりが良かったとため息が零れてくる。そんなリナにハグリットもまたため息をし返してくる。
「こんな夜中にどこふら付いてんだ?」
「たった今、独立しようと思い立って」
肩を竦め答えるリナはどこか投げやりだった。
「独立する奴がこんな所で?」
興味深そうに尋ねるハグリットにリナの顔は不機嫌になっていく。
「それより、何でここに?」と反対にリナは尋ねるとハグリットは渋った表情でリナの隣りに座った。
「俺にこの近くのバーでドラゴンを売ってくれるって言った奴が中々姿を出さなくてな、気が付いたらこの時間になっちまった」
拗ねているハグリットにリナは優しく肩を擦ってやった。
「完全に時間の無駄ってやつだね」
慰める気のないリナの言葉にハグリットは図星のように傷ついていた。
「それよりホグワーツに帰りたいんだけど、貴方ってバイク持ってたよね?」
「何?乗せて欲しいのか?」
リナの問いにハグリットは驚き顔を見つめた。
「だが、両親の許可がなきゃ…」
渋るハグリットにリナは小悪魔な笑みを浮かべる。
「なんならドラゴン扱ってる店を紹介してあげてもいいよ?」
「そうか!…いや、それはいかんだろう」
一瞬子どものように目を輝かせたハグリットだったが、すぐに正気に戻る。
そんなハグリットにリナはつまらなそうな表情をしてみせた。
「別に家を出たことすら知らないだろうし、許可なんていらないでしょ?」
「そういう訳にはいかん」
「何さ、今更になって真面目ぶっちゃって」
リナはポケットから煙草を出し咥える大きな煙を吐いた。すると何かを思いついたようにリナはハグリットの顔を見た。
「そういや校長に話があるんだった!」
「こんな夜中にか?」
「そうそう!大急ぎの用事!」
「そうやって俺を騙そうとしてるんじゃなく?」
首を傾げるハグリットにリナは目を細めると、ハグリットはすぐに立ち上がった。
「お前さんはコロコロ態度が変わるなぁ」
やれやれとバイクが止まっている所まで歩く中、ハグリットは愚痴を零していた。
「女ってそんなもんでしょ」
適当に返しながらリナはハグリットの後を歩く。
大きなバイクを見つけすぐにハグリットの物だとわかると、すぐにリナは跨った。
そんな彼女を見てハグリットは首を振りながらリナの前に座り、バイクはゆっくりと前進し始めた。