□Harry Potter□
□第五章:婚約パーティ
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意外な友情は日々芽生えている。
その一番の理解者は誰より孤独な人間だ。
-第五章-
とうとうジェーンの婚約お披露目パーティの当日となってしまった。
朝10時にはすでに完璧な状態のジェーンが居間で紅茶を飲んでいた。
真っ白なドレスは純血を意味するのだろう。品のあるレース使いのドレスはリナも見とれる程であった。
『あら、リナまだ着替えていなかったの?』
朝起きてきたリナを見てジェーンは微笑んだ。
「髪をどうしようか迷ってて」
ジーンズ姿のリナは照れくさそうにジェーンに呟くとジェーンは優しく微笑んだ。
『私がやってあげる』
そう答えるとジェーンはリナの手を取り自室へと向かった。
以前は二人部屋だった部屋はジェーンの荷物がすっかりなくなり大きく感じられる。久々に自室へと入るジェーンもまた同じことを考えていたのだろう。胸に手を当てていた。
『折角だから今日は巻いてみようか』
ジェーンはアイロンを手に取ると、リナはドレッサーに座った。鏡越しで見る姉の顔は気が付かぬ間に随分と大人びていた。
ジェーンはリナの長い髪を取り、器用に巻いていく。
『アンタとは長い間姉妹をしてきたけど、こんな事はしてこなかったよね』
すると懐かしそうにジェーンは呟いた。
「そう言えばそうかも…」
リナは目を伏せて笑うとジェーンも『何よ』と答えながら笑う。
「まさか本当にセスと結婚しちゃうなんて思ってもなかったよ」
ふとリナがそう話すとジェーンは目を閉じた。
『実は私も』
そんな言葉にリナは目を丸くさせる。
『でもね、案外運命の相手って身近にいるもんよ?』
ニコっと答えるジェーンにリナは笑って頷いた。
『今日はこれを貸してあげる』そしてジェーンはシルバーの光り輝く羽がモチーフの髪飾りをリナの髪に絡めていった。
「借り物するなんて生まれて初めて」
驚くリナにジェーンは頬を膨らませた。
『機嫌いいのは今の内なんだからね?機嫌損ねたら返して貰うわよ?』
冗談交じりに話すジェーンにリナはごめんと謝りながら笑う。
『これでよし、っと。じゃあ先に下に降りてるから早く着替えなね』
準備が終わるとジェーンはとっとと部屋を出て行った。
1人残ったリナはドレッサーに置かれている綺麗なエメラルドのドレスを手に取った。そして腕を通すと深いため息が零れた。
そして鏡に映る自分の姿を見てリナは思わず涙が零れた。
初めて姉と妹として接したような気がする。そんな姉が直に人妻になれば、もうこのように接することはなくなるのだな、と実感したからだった。
それから間もなくして涙を拭いリナはマスカラをまつ毛に塗った。