□Harry Potter:Lupin□
□9、道連
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ホグワーツへ戻ったリナだったが、どこか上の空でそんな彼女を見つめながらカースティンはお得意の皮肉めいた挨拶をする。
「アンタが帰ってきてホグワーツはさらにユニークな学校になるわね」
「それほど私が恋しかった?」
不敵に笑いながら友人の顔を見つめるリナにカースティンはため息を零す。
「なんか迫力なくなったわね」カースティンの言葉にリナはただ微笑みながら俯いていた。
「アンタが居なかった時のことを簡潔に話すと、魔法省に勤めているアンブリッジっていう性悪女がホグワーツを乗っ取ったの」
「乗っ取ったって、校長はダンブルドアでしょ?そんな大袈裟な…」そう言いかけるリナにカースティンは阻んだ。
「アンタ少しは新聞読みなよ!ダンブルドアは私たちを見捨てたの。今やあのアンブリッジがここの校長」
「うわ…吐き気がしてきた」
悪寒を感じたリナはわざとらしく身を震わせるとそこへあの双子が顔を出した。
「その様子だと噂は聞いたみたいだな」
久しく見たジョージの顔にリナは何となく年相応の安らぎを覚えていた。
「それにしても良く戻って来たな!絶対戻って来ないと思ってたぞ?」フレッドのイタズラな笑みにカースティンは吐く真似をしてみせる。
「この子のこと全く分かってないのね。私に会えない寂しさで戻って来たのよ」
肩を竦めるカースティンにリナは微笑んだ。
「この騒がしさが恋しかったのは本当」
そう答えるリナにフレッドとジョージも満足そうに笑っていた。
レイブンクローの制服を着ながらリナは何か違和感を覚えていたが、これが本来の自分だと言い聞かせる。
学校へ戻って来たのも、きっと自分にとって良いことだ。
ここに居れば気分は紛れる、そう思うもホグワーツを見渡せばリーマスとの記憶が呼び覚まされる。
「はぁ…」
胸の毒素を吐くようにため息が出るとハーマイオニーの笑った顔が目の前に見えた。
「久しぶりのホグワーツなのに、疲れた顔をしているわね」
「久々のカースティンのマシンガントークがキツくてね」
「想像が付くわ」純粋な彼女の笑みを見つめながら廊下を進んでいくと、ハーマイオニーはある教科書を差し出した。
「これから新しい先生の授業を受けに行くの。もし時間があればだけど一緒にどうかしら?」
ハーマイオニーの誘いにリナは頷く。
「暇だし、行ってみようかな」
「きっと貴女が気に入る授業だと思うわ!なんてたって魔法物理学なんだもの」
「初めて聞いた授業だけど?」
「いいから試しに行ってみましょう」
ハーマイオニーはリナの腕を取りどんどんと進んでいった。