□Harry Potter:Lupin□

□6、予感
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「おはよう」

やたらに機嫌のいいリナの朝にリーマスは欠伸をしながら頷いた。

「何?今日も低血圧?」

不服そうに尋ねるリナにリーマスは仕方がなさそうに笑って見せる。

「もういいよ。爽快な朝から現実に戻ったから」

「それにしても爽快な朝って?」

聞き返すシリウスにリナは不敵に笑う。

「何と今日からマクゴナガル先生から直接に動物もどきの特訓を受けられるようになったの」

嬉しそうに話すリナにリーマスは驚いたように目をぱちくりとさせた。

「動物もどき習得は本気だったのか?」

「私には不得意がないって証明しないと」

肩を竦めて答えるリナにリーマスは微笑んだ。




その日の午後リナはスキップをしながらマクゴナガルの部屋へと向かった。

「待ってましたよミス・ギルバート」

いつもの重い空気を漂わせるマクゴナガルにリナは屈せず挨拶をする。

「早くしましょう先生」

教科書を開く彼女にマクゴナガルは残念そうな声を掛ける。

「その前に話す事があります」

「…」

マクゴナガルの言葉にリナは恐る恐る顔を上げると、マクゴナガルはそれを合図に口を開く。

「以前話していた未来へ戻る方法ですが、未だに見つけていないのです」

「ああ…」

思い出すようにリナは頷くとマクゴナガルは目を細めた。

「そんな重要なことを忘れていたのですか?」

「最近充実した生活を送っていたので、つい」

そう話す彼女にマクゴナガルはホッとするも少し複雑そうだった。

「楽しい学園生活を送るのも大切ですが、貴女はもう少し身を引き締めた方が良さそうですね」

「と言いますと?」

「もし未来へ戻る方法を見つけたら?貴女は確実に帰らなくてはならないのですよ?」

指輪を指さすマクゴナガルにリナは寂しそうに頷いた。

「そうですよね…」

「そこをしっかりと頭に入れて生活なさい」

きっぱりと話すマクゴナガルにリナは視線を落とした。







寮へ戻って来たリナをリーマスは待ち構えていた。

「マクゴナガル先生の特訓はどうだった?」

彼の笑顔を見てリナは安心するように息を吐いた。

「どっと疲れたよ」

「だろうと思って、はいこれ」

そう言い板チョコレートを差し出す彼にリナは微笑み受け取った。

「ありがとう。半分にして食べよう」

チョコレートを受け取りながらポキっと折るリナにリーマスも嬉しそうに受け取った。

「それで習得はできそうか?」

チョコレートを頬張りながらリーマスは尋ねた。

「1日じゃ習得は出来ないって」

肩を竦めるリナは不服そうだった。

「そりゃシリウスたちも数年かけて習得したからな」

そう答えるリーマスの横顔を見てリナは彼の胸に顔を置いた。

「そんなに疲れたのか?」

驚くリーマスにリナは頷いた。

「そう、だからもう少しこうさせて」

溜息の多い彼女をリーマスは微笑みながらそっと抱きしめた。

その温もりを感じながらリナはそっと目を閉ざした。
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