□Harry Potter:Lupin□
□1、接点
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イングランドには夏が訪れジメジメとした空気が覆っていた。
勿論、ブラック邸にも不穏な空気が流れ込んでいた。
「はっきりと言って認めてはいないぞ」
ルーピンは腕を組み、シリウスとリナを見つめていた。
「もっと言ってやってくれ」
激しく同意するような眼差しでシリウスは頷いているもリナは不服そうにため息を吐いた。
「親でもないくせに」
「娘が1人の男と同じ屋根の下で暮らすと聞いたらそりゃご両親も反対なさるはずだ」
笑みを浮かべ受話器を取るルーピンを見てリナは肩を竦ませた。
「どうぞ」
自信があるのか特に焦る気配のないリナの様子にルーピンは目を細めるも電話を耳に当てた。
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「ええ、ですから娘さんは…」
リナの母親と電話を通して話をしていたルーピンだったが、頭を掻き始めた。
困惑しているルーピンの顔を見てリナは不敵に笑いながら自分の髪を撫でる。
『そういう事でしたら今度手土産を持ってご挨拶に伺いますわ』
「…私が言いたいことは」
『では明後日でも伺います』
ガチャリと強引に電話を切られあ然としているルーピンにリナは咳払いしながら敢て尋ねた。
「それで…、母の許可はどうだった?」
笑みを浮かべているリナにルーピンは目を合わさずソファに腰を下ろす。
「困った血筋とはこの事か…」
やれやれと額に手を置きながら大きなため息を零すルーピンの様子にシリウスも落胆していた。
それから夜になり、3人で食卓を囲むとリナは不思議そうにルーピンの顔を見た。
「まさか3人で食事すると思っていなかった」
レトルトのピザを頬張りながらリナは話した。
「狼の館に少女を1人にさせておけるわけがないだろう」
「誰が狼だ」不服そうにツッコむシリウスを軽く睨みながらもルーピンもピザを頬張った。
「あら心配していただいて有り難いけど、勝手な妄想は止していただきたい」
髪をかき上げながらリナは2人を止める。
そんな彼女にルーピンは首を振りながら言い換えようとしたが諦めた。
「まぁいいさ。どんなに言っても人の話を聞くような子じゃないとわかったから」
お手上げだと両手を挙げるルーピンにシリウスは無言で睨んでいた。