□Harry Potter:Sirius□

□3、保険
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大広間で仲良さ気に歩くシリウスとリナの姿を見てルーピンは不服そうにしていた。

とっくに事は済んだというのに何故彼女はまだここにいるのだ、と。

友人を盗まれたとでも思うようにルーピンは複雑だった。



-3、保険-



いつものように朝食を採るリナをルーピンが怪訝そうに見つめているとふと彼女と目が合う。

「何?」

眉を顰めるリナにルーピンは肩を竦ませ朝食を採り、さっさと席を離れて行った。

「私、何か怒らせる事した?」

シリウスに尋ねると彼は笑う。

「私たちに嫉妬でもしてるんだろう」

まんざらでもない表情で答えるシリウスにリナも肩を竦ませ、それ以上は考えなかった。

「それにしても暑いな…」

7月になろうとしていたイングランドは少しジメジメとしていた。

ローブを脱ぐとシリウスのシャツは汗で少し透けていた。彼の引き締まった肉体にリナが見惚れていると目の前からジェームズの笑い声が聞こえてくる。

「彼氏の肉体を見て何鼻血垂らしてるんだ?」


からかうジェームズに呆れながらもリナは鼻を拭った。

「暑さのせいよ」

ムスっとしながら答えるリナにシリウスとジェームズは笑っていた。



その日の午後、リナはボーっとしながら1人で廊下を歩いていた。

この先の事を全く考えていなかったのだ。

ポケットに忍ばせている鍵を擦りながらリナは空を見上げた。

ここでの生活を手放したくない。そう思うが、この鍵を捨てられずにいる。

どちらかを取るなど自分には出来なかった。



そんな事を考えていると廊下で1人の少女とすれ違う。

そして

「貴女…、確か私の制服を貸してあげている子よね?」

リリーの声にハッと我に返るとリナは苦笑いを浮かべた。

「そうだった。早く返さないとね」

頭を掻きながらリナは済まなそうな表情を浮かべているとリリーはフッと息を吐いた。

「何か思いつめた顔をして歩いていたけど、話聞くわよ?」

リリーの言葉にリナは首を横に振った。

「これは自分で解決しなきゃならないから」笑いながら答えるリナをリリーはただじっと見つめていた。

「制服洗濯したら返すね」

そう声を掛けリナは去っていく姿をリリーは見送った。



夕方になりリナは大広間へ向かおうとしていた時だった。

「ここでは見ぬ顔じゃな」

ダンブルドアに声を掛けられリナは戸惑った。

「そうですか?」

「ふむ…、見知らぬ生徒がホグワーツを歩いているとなればこれは問題じゃな」

片目を瞑るダンブルドアにリナは唇を噛みしめた。
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