□Harry Potter:Sirius□
□2、向けられた光
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-2、向けられた光-
自室に籠りシリウスが巻いてくれた頭の包帯を擦りながらリナはベッドに横になっていた。
べラトリックスの奇襲に再び不安が過る。
エドワードの息絶えていく姿が脳裏に浮かび上がりリナは手で目元を覆うと、そんな彼女の元にシリウスは訪れた。そしてベッドに腰を下ろすと、彼女の頭を擦る。
リナは彼の手に触れながら目を開け微笑んでみせるが、シリウスは首を横に振る。
「ここでは無理をする必要はない」
シリウスの声が耳に囁かれるようでリナは目頭が熱くなっていくことを感じた。
「一瞬でノックアウトされちゃった…」
べラトリックスのあの笑みを思い出すだけで悔しさと自分の無力さを思い知らされリナは溢れそうになる涙を堪える。
「そんな事で部屋に籠っているわけではないんだろ?」
シリウスはリナと同じようにベッドに横になると、じっと目を見つめていた。彼の視線に耐え切れずリナは目を逸らした瞬間、重力に逆らえず涙が頬を伝って行った。
「いつになったら人は強くなれるんだろ」
涙を拭いながらリナはシリウスを見つめ返す。するとシリウスは目を伏せ落ち着いた声音で語りかけた。
「人は孤独で不安を抱いた時、強くなりたいと願うものだ」
シリウスの言葉にリナは耳を傾ける。
「心が寂しさに押しつぶされそうになれば辺りを見ろ。我々が付いている」彼女にそう話すシリウスの瞳には哀愁が籠っていた。
それは彼ながらの願いであるのだとリナは感じられた。
「そう思う時があるの?」シリウスにそう尋ねてみると彼は笑う。
「ああ、そう願った時がある」
アズカバンに収監された際に感じたことなのだろう。リナは彼のカサついた手を取りながらそう思った。
「もしずっと昔に私と出逢っていたら過去は変えられたと思う?」
「過ぎてしまったことは誰にもわからない。だが、多少は希望を持てていたかもしれないな」微笑みながら答える彼の顔を見つめながらリナは、ふと考えた。もし自分が傍にいてあげられていたのなら何をしてあげただろう。