□Harry Potter:Lupin□
□3、事実
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あの時、何故彼女は学校へ戻る事を頑なに拒んだのか未だに理解できずにいたルーピンは運転をしながらため息を零した。
「そんな大きなため息を吐いてどうした?」
助手席に座りながら心配そうに覗き込むシリウスにルーピンは首を横に振る。
「いや、少し疲れてしまってな」
「確かに最近は安心できる間もなかったからな」
そう答えるシリウスは苦虫を噛むように顔を顰めていた。
後ろの席に座りながらじっと外を見つめる少女の顔を見つめ、これから託す重要な任務を任せる自分の愚かさに後悔していた。
「何?」
すると不服そうに眉を顰めるリナと目が合いシリウスは肩を竦めた。
「緊張でもしているんじゃないかって思ってな」
「緊張することなんてない。たったの3日間の任務でしょ?成し遂げてみせる」
余裕の笑みを浮かべる少女にシリウスは呆れたように前へ顔を戻すとルーピンは頭が痛むように額に手を置いた。
「その余裕がどれ程危険なものか」
そう呟く彼の言葉にシリウスは気付きもしなかった。
はぁ、はぁ…
かっこつけたもののリナは、ソワソワしていた。
70年代に戻る為に、森を駆けぬける。
襲い掛かってくる敵を何とか遠ざけることばかりに意識がいっていると、隣にルーピンが立つ。
「鍵は手にしたか?」
彼の問いにリナは頷き手に持っている鍵を見せた。
「もしこの任務から無事に帰って来れたら、きちんとお礼をしてもらうから」
「必ず」微笑み答えるルーピンにリナは目を細ませた。
そして逆戻りの鍵を握り締め、深く息を吐く。
全てはエドワードの仇を討つためだ。そう言い聞かせ鍵を握ると目を閉ざした。
目を開けると眩しい光が射しこみ、目を細めた。
しかし、その瞬間その光りが日の光りであると確信する。
「ここって…」
見覚えのある建物…、そうホグワーツを目の前にしていることに気が付きリナは握っていた手のひらを開け、鍵を見つめた。
「こんな所で何やってんだ?」
すると急に声を掛けられリナは思わず顔を上げる。
「貴方、誰?」
眼鏡を掛けた青年が眉を寄せながら笑っている。誰かの顔によく似ている、そう思った束の間…
「そういう時は自分から名乗るもんだろう」
そう答える青年の背後からこちらに駆けて来る2人の青年に目が留まり、同時にリナの息も止まった。
若かりし頃のシリウスの顔を見つめ、覚悟していたのにも関わらず胸が締め付けられた。
「こいつ誰なんだ?」
彼女の視線を不気味に想いながらシリウスは尋ねると先程の眼鏡の青年は肩を竦めた。
そして漸くリナはハッと我に返り手を差し伸ばす。
「初めまして、リナです。親戚なの…えっと」
隣りに立つ生徒に目を細めると生徒は微笑んだ。
「ああ、ポッター家の血筋にブロンドがいるんだ」
「そうポッターの…、え!?そうポッターなの」
頷き答えようとするリナは思わず聞き返そうとしたが、笑顔を作った。
その様子に3人の青年もニヤニヤと笑みを浮かべた。