□Harry Potter:Lupin□
□1、接点
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翌朝、リナは目を覚ましパーカーを羽織って居間へと向かうとソファで眠っているルーピンに気が付き少し複雑そうにしていた。
ヤカンを沸かし、コーヒーを作っていると匂いに気が付きルーピンが目を覚ました。
「…やけに早起きなんだな」
腕を伸ばしながらルーピンが起き上がる様子にリナは微笑んだ。
「そこで寝させちゃった罪滅ぼし」そう言いながら熱々のマグカップを差し出すとルーピンは笑顔で受け取った。
「テレビを見ていたんだが、気が付いたら眠ってしまってな」
頭を掻きながらコーヒーを飲むルーピンにリナは微笑みながら俯く。
「そうじゃなくて。私のせいで気を使わせちゃったわけでしょ?」
大人の責任として自分の身を想いブラック邸で寝泊まりしたとリナは考えバツの悪そうに顔を顰めさせた。
そんな彼女に気が付いてかルーピンは彼女の頭に手を置き、優しく笑みを掛けた。
「何、君がどんな生徒かくらいは見当がついていたさ。私らに気を遣わなくていい」
「…何か昨日とは態度が違うけど、何かあった?」
目を細めるリナは彼の意図が分からなかった。
だが、ルーピンはそれ以上は話すことなくコーヒーを飲み続けた。
ただ目の前に座っている彼女の顔を見ては胸が痛むようだった。
エドワードの死はほんの数週間前の出来事だ。
彼女の好きなようにさせてあげたい、それが彼ながらの優しさだった。
ようやく起きてきたシリウスは2人の姿を見て不思議そうだった。
「お前たちは仲が良かったか?」
疑問をぶつけるシリウスだったが、答えは気にならなかった。
そして朝食を採っているとルーピンは目の前でマニキュアを塗りながらパンを頬張っているリナを見つめる。
「そんないっぺんにやらないとイケないことなのか?」
「ん?別に?」
シルバーに染まっていく爪を見つめながらリナは答えるとルーピンは目を瞑った。
「そういう事も大事だろうが、他にもやる事があるはずだ」
「やる事?そういえばまだ足は塗ってなかった」と靴下を脱ぎ足の爪を見つめるリナに呆れていた。
「そうじゃない。ここにいるとなれば防魔術の勉強がうんとできるぞ」
「え…」
顔を引き攣らせる彼女にルーピンは満足そうだった。